首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

教育資金贈与信託(3)

それにしても何とも奇怪な教育資金贈与信託。

若き日の自分が、もしこの方法で受贈されたとしたら、と考えてみた。結論は、これ以外の形で普通に贈与してもらうのがいいな、ということ。


■私的な情報は知られたくない

この制度を使うと、あまり知られたくない情報が銀行にどんどん蓄積されていく。

どんな塾に通い、どんな習い事をし、いくら家庭教師に支払い、どこで浪人生活を送り、結局どこの大学に入ったか。これらすべての情報が銀行に蓄積される。

行員の目に触れる機会も多かろう。興味本位で履歴を検索されると思うと虫唾が走る。システムトラブルで外部流出する可能性もゼロではない。

ああ、いやだいやだ。


■塩漬けになる可能性もある

教育費用でなければ引き出せないとしたら。この口座を中途解約できないとしたら。

学業には向いていないので、早く社会に出たい。お祖母ちゃんが残してくれたお金を結婚費用に充てたい。お祖母ちゃんのお金を資本金にして会社を立ち上げたい。そう思ってもこの資金は信託終了まで全く触れないことになってしまう。しかも金利は雀の涙。

贈与税を払って、使わせてもらえればいいのに。30歳まで通帳を眺めているだけというのはつらいし、もったいない。


■ああ、面倒だ

正直、手続きが面倒だ。

本土の大学に進学しても、領収書を持って沖縄銀行の支店窓口に出向かなければならない。わざわざ帰省しているのに、貴重な時間を銀行ロビーで費やすのは、実につまらない。

でも、実家が沖縄にあるだけまだマシだ。もし家族全員が本土に転居してたらと思うとゾッとする。東京支店に行くか、わざわざ沖縄にこのためだけに飛んでこなければならなかった。領収書を郵送で受け付けてくれる銀行もあるのにな。

領収書を失ったら、後でドカッと税金がかかってくるかもしれないというし。なんでこんなにヒヤヒヤしなきゃダメなんだろう。

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ブログを読んでくれた知人から聞かれた。「この教育資金贈与信託、ひいお婆さんからヒ孫の場合でも大丈夫かな?」

なんで僕に聞くかね(笑)。ひ孫さんは29歳以下なの?ああ、生まれたばかり。ならば大丈夫。直系尊属である曾祖父母の利用は可能だよ。

ひいお婆さんはおいくつ?へー、98歳なの。それはこの制度にぴったりかもしれないぞ。あと何十年もの存命は正直難しい。生まれたばかりのひ孫さんが私立大学に入学するころ、ひいお婆さんのプレゼントの有難さをまさに実感する。世代を超えた、真心のロングパスだ。いい話だわ。

三菱UFJ信託銀行の教育資金贈与「まごよろこぶ」がいいんじゃないか。通帳にひ孫を抱いたひいお婆さんの写真を載せられる。ひとことメッセージも添えられる。ほのぼのしたいいサービスだ。