首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

マジで滅びる5秒前

また珍妙な文書が世に落ちてきたものだ。

タイトルを「早稲田大学・大学院先進理工学研究科における博士学位論文に関する調査委員会」という。僕は読んで腰が抜けそうになった。ありえんだろ。

6月13日のエントリー「不正再発防止」に、僕は「理研や早稲田が消えても何の不思議もない」と書いた。早稲田の消滅は意外と早いかもしれないな。

たった5枚の紙切れ。だからすぐに読める。すぐに読んでみた方がいい。これを読んでみて「何かおかしい」と感じない人がいるのだろうか。

早稲田の法科大学院の学生に聞いてみたい。「あなた達は、こんなロジックを学んでいるのですか」。早稲田には難関の小学校もあるらしい。生徒さんに聞いてみたい。「君たちは、これを読んでどう思った?」

この調査委員会は5人で構成される。委員長は弁護士の小林英明氏。あとの4人は匿名だ。そりゃ名前は出せんわな。末代までの恥やで。悔しかったら名を名乗ればいい。
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委員会はまず、本件博士論文に以下の26個の問題箇所があると認定した。

  • 著作権侵害行為であり、かつ創作者誤認惹起行為といえる箇所~11箇所
  • 意味不明な記載といえる箇所~2箇所
  • 論旨が不明瞭な記載といえる箇所~5箇所
  • Tissue誌論文の記載内容と整合性がない箇所~5箇所
  • 論文の形式上の不備がある箇所~3箇所


同時に委員会は、以下の点を認定した。

  • 本件博士論文は、草稿である
  • 最終的な完成版を製本すべきところ、小保方氏は誤って草稿を製本し、大学に提出した


なぜ草稿だったといえるのか。こういうことらしい。

小保方:「この論文には2枚しか図がないでしょ」
委員会:「はい」
小保方:「3枚ないと意味がないのよ。わかる?」
委員会:「はい」
小保方:「こっちの論文には3枚図があるでしょ」
委員会:「はい」
小保方:「だからこっちが本チャンなの。わかる?」
委員会:「これらの事実を総合すると、『本件博士論文は公聴会時論文以前の博士論文の草稿である』と推認できる。」

で、どこにその「最終的な完成版」があるのか。

「小保方氏は、委員会に対して、『当時完成版として提出しようと思っていたものはこれである。』等と供述し、ある博士論文を提示」したのだという。しかし、そこには草稿(=提出された博士論文)に含まれていた多くの問題個所が修正されないまま、残っていたという。そして次の文章が続く。

本委員会は、当該小保方氏の供述に相当の信用性があると考えたが、小保方氏の主張にいう博士論文が、当時、小保方氏が最終的な博士論文として真に提出しようとしていた博士論文と全く同一であるとの認定をするには、証拠が足りないと判断した

ということで、草稿ではない「最終的な完成版」なるものは、この世のどこにも存在しないのでありました。チャンチャン。

…って、なんやねーん。ホンマにアホちゃうか。
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で、この委員会の結論は何ですかね?委員会報告の末尾、次の一文が付された。本邦アカデミアの黒歴史に永遠に残る一言だろう。

早稲田大学がひとたび学位を授与したら、それを取り消すことは容易ではない。それほど学位の授与は重みのあるものである。

  • 結果的に、26箇所もの致命的な問題点を抱えた論文に対して学位を与えた。たしかにそれはまずかった。
  • しかし、その論文は草稿だったので不正ではない。本チャンの論文には、コピペしてパクッたいくつかは掲載されていない。ただし、本チャンの論文はどこにあるかわからない。存在しないかもしれない。
  • ともかく、不正でないから、規定上学位は取り消せない。早稲田の学位は重みがあるんです。以上。


まとめるとそういうことだ。科学的な真理とか、正義とか。そういうものには一切関心がないのだな、この人たちは。最終的には、総長さんが学位を取り消すかどうか決めるという。とんだメチャ振りだな。総長さんもお気の毒に。

ま、取り消さんだろう、この大学は。

その瞬間、滅亡だな。