首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

アイリスオーヤマの扇風機

アイリスオーヤマタワーファンを買った。

うちのリビングにはエアコンがない。新宿に引っ越した時からずっと使っていた扇風機、酷使を重ねてついに動かなくなった。

縦型の扇風機を探した。いろいろ見た結果、このアイリスオーヤマのタワーファンに行きついた。他に比べて評判がすこぶる良い。「とても静か」、「十分な風量」、「思ったよりかっこいい」。比較サイトにはそんな言葉がならぶ。

しかも安い。高さ1,000mmのモデルで7,480円也。名の通った家電メーカーではないけれど、口コミを信じて即アマゾンで購入。届いたものを動かしてみると、まさに評判通り。とても静かで出来がいい。

アイリスオーヤマ製の家電の記事がいくつか目に入った。たとえばこの記事。「白物家電に本格参入 アイリスオーヤマ*1

  • ガーデン用品から出発したアイリスオーヤマが、白物家電に本格参入している。空気清浄機、調理器、掃除機などの製品を相次いで出し、家電分野で急速に売り上げを伸ばしている大山健太郎社長に快進撃のノウハウを聞いた。

大手家電メーカーをリストラされた社員を積極的に採用しているという。「前の会社での失敗などの経験を活かしてもらえばいい。」大山社長はそう語る。

大手家電の元社員が来て驚くことが二つあるそうだ。前の会社では決定してから製品が出来上がるまでに半年から1年掛かっていたが、ここでは3カ月でできてしまう。スピードの速さに驚き、実際できてしまうと、今度はこれが達成した喜びに変わる。

リストラされた社員が再就職し、新しい職場で驚き、作り上げ、そしてその完成を心から喜んだ作品なのだ。なかなかいい話じゃないか。

さらにはこちらの記事。「関西家電OBの新天地 アイリスオーヤマ*2は、次のような書き出しだ。

  • 電機メーカーの大規模リストラで、「家電王国ニッポン」を支えた技術者たちの多くが志半ばで慣れ親しんだ職場を離れていった。彼らはどこに新天地を求めているのか。
  • お客さんのことも、利益のことも考えず、ひたすらにスペックを追求する。(略)日本の電機大手はユーザー不在の不毛な開発競争に明け暮れ、競争力を失っていった。
  • アイリスの大阪R&Dセンターでは、そんな大手メーカーを離れた男たちが「今度こそは」とユーザーと向き合いながら商品開発に汗を流している。(略)一敗地にまみれた電機大手のベテランたちが、ここでどんな製品を生み出すのか。大いに楽しみである。

たかが扇風機ではある。しかし使ってみると、製品のレベルの高さはすぐに実感できる。技術者の魂は、どんな製品にでもしっかりと宿るのだな。そう、工芸作品や高級乗用車でなくとも。

どんな製品にでも、どんなサービスにでも、魂は宿るものなのだ。

*1:WEDGE2月号、2013/01/23

*2:日本経済新聞電子版、2014/08/01