『ビヨンド・ザ・エッジ』
陰鬱な気分で退社。週末だし、気分転換に映画でも見て帰ろう。
『ビヨンド・ザ・エッジ 歴史を変えたエベレスト初登頂』(原題:Beyond the Edge)の上映開始に滑り込む。
失敗した。気分の落ち込んだ時に観る映画ではなかった。登山を愛することを自覚する僕が、何度席を立とうと思ったことか。
この人たちと僕とでは、登山の目的が違うのだ。「勇敢」とか「名誉」とか「打倒」とか、そんな言葉が貼りついた登山。もちろんその種の登山があることは頭では理解できる。しかし、それは僕にとっては尊いというよりは、むしろなんだか汚れたものに思える。「なぜ山を登るのか?その答えがここにある。」というのだが、僕にはその答えとやらが見つけられなかった。
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エベレストの山頂からの眺めが映った。素晴らしいという言葉以外にない。しかし、ヒラリーとテンジンが踏みしめたこの真っ白な頂上は今や存在しない。
「かつての登頂者が飾った登山記念品のほか、シェルパらが祭ったチベット仏教のお札や旗の山などが、ごみと化して散乱」しているという*1。それはそうだ。「ネパール観光省によると、現時点で登頂者は約4,000人」もいるというのだから。
しかも登山者急増は止まらない。そこそこの技術と、最低500万円というツアー参加費を出す財力があれば、今やエベレスト登頂は必ずしも夢ではない。へえ、エベレストですか。すごいですね。
ええ、これはヤッカミです。真っ当な登山技術も、十分な資産もない、つまらない人間の抱いた嫉妬に過ぎません。すみません。