ウルグアイ×イングランド
初戦、伏兵コスタリカに敗れたウルグアイ。もう後がない第二戦目、ケガから復帰したばかりのスアレスが登場した。
万全でないのは見て取れる。しかし「ここぞ」という局面で、やはりこの男はやってくれた。劇的2発でイングランドを粉砕。
1点目はしびれる。まず、中盤が左に軽く展開したカバーニへパス。速攻を恐れて必死で戻る敵のDFをあざ笑うかのように、スローダウンして自分の間合いでパスを受けたカバーニ。裏を取るスアレスの動きを完全に把握しながらピンポイントのクロスを上げる。
ドンピシャのタイミングでスアレスのヘッド。ファーサイド、ここしかないというところへ狙い澄ませて首を振った。最高の時間帯での先制点。
リプレイを見ると、ヘディングしたその瞬間、ゴールが決まる前に、もう笑みをたたえている。この男は神か悪魔か。ともかく別次元にいることだけは確かだ。
2点目はもう神がかり。味方キーパーのゴールキックをカバーニとジェラードが競り合う。スアレスはオフサイドにいるように見える。このゴールキックはジェラードに当たった。後方に逸らすつもりだったのかもしれない。しかしそこにスアレスはいた。
スアレスはここにボールが来るのを読んでいた。しかも、味方カバーニからのパスではなく、敵方ジェラードからこぼれる形で来ることを読んでいた。もちろん読めるはずはない。でも読んでいたかのように見える。すべてがスアレスのコントロール下。当然のように、ボールはゴールネットを突き刺した。ミラクルでしょう。
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「今日のようなゴールを夢見ていたのでしょうか?」というインタビュアーの問いに、スアレスはこう答えた。
夢見ていた、そう、夢見ていたよ。
これまで受けてきた批判を思い、いまこの時をかみしめている。
答えはこのピッチにあったよ。
涙ぐみ、嗚咽しながらそう答えたスアレス。
前回のW杯から4年。手でシュートを防いだあのレッドカードから4年。悪役のレッテルを貼られ続けた4年を経てのこの2ゴール。
今日のプレーは汚さの対極にあった。ゴールだけでなく、すべてのプレーがある意味でストイックだった。
ついに実力で世界をひれ伏せる日が来たな。がんばれ、スアレス。