首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

寒緋桜~かんひざくら~

朝、いつになく混みあっているゆいレール。いつもなら空いている席に腰を下ろすのだが、今日は押しやられるように先頭車両の窓際に立った。

なにげなく目をやった首里の丘。丘のあちこちにぽつりぽつりと紅色の斑点が。
おー、沖縄の桜、寒緋桜*1の木だ!

知らなかった。2回目の春にして初めて気が付いた。首里にもこんなに植えられているんだ。桜、こうやって眺めてみると、ひとつの庭にひとつづつ、ちょこんちょこんと植えられていることがわかる。ここ首里には桜並木とか桜の名所はないみたいだが、遠くから眺めると春の絵巻のようで、なんとも言えずかわいらしい。2月10日にしてすでに春爛漫のおももちだ。

それにしてもこの寒緋桜の紅色は不思議だ。これを「桜」といわれて、違和感を感じなくなるのまでに、僕は果して何年かかるのだろう。そしてそうなった時、ソメイヨシノの薄桃色の花をみたとしたら、僕はどう思うのだろうか。

寒緋桜の並木の中で、ただ一本だけソメイヨシノが植えられていたとしたら、それは桜と認めてもらえるのだろうか。それとも、ここ沖縄ではそれは桜ではないと切って倒されてしまうのだろうか。…大阪から戻ってこの2日間、会社で疎外感を感じることが多かったからか、ふとそんなことも考えたりした。

*1:ヒガンザクラ(彼岸桜)と混合されやすいため、近年はカンヒザクラと呼ばれることが多いとのこと。