首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

バングラデシュ/こころの玉手箱


今日の夕刊、こころの玉手箱は声楽家の佐藤しのぶさん。
バングラデシュ・ダッカの話だった。

僕も2008年に同地を訪れたことがある。仕事でなければおそらく踏むことのなかった土地。ここでの見聞は強烈な記憶として残っている。

街なかで出会った子どもたち、彼らの半分は裸足だった。その笑顔のなんと純粋だったことか。

2004年、首都ダッカはエネルギーが渦巻いていた。古びた車がクラクションを鳴らして走っていく。そこには親元を離れて暮らしている子どもたちが30万人以上いるということだった。路上で暮らす子どもたちは心ない大人たちに暴力をふるわれ、さらわれて売られる子もたくさんいる。


私が訪ねたのは路上暮しの子どもたちのためにNGOが運営している施設。「かえるのうた」をベンガル語で教えると大喜び。「クワクワ」で盛大にはしゃいで歌う。


その中に利発な女の子がいた。名前はハシナ。生年月日がわからないので正確な年齢はわからないが、8、9歳だろうか。ゴミを拾って得たわずかなお金で生活していた。縫物が得意で「将来はミシンを買って仕事をして、今は路上に住むお母さんに楽をさせてあげたい」と言う。


ある日、彼女が書いた詩をスタッフの方に日本語に訳してもらった。

蜂は花から花へ蜜を集めて巣をつくる
私も同じ
ゴミの中から鉄くずを集める
それなのにみんなは私のことを
クズ拾いと呼んでいじめる
私はそんなふうに呼ばれたくないのに
私が悲しんでいることを
誰もわかってくれない
でも、それでもいいの
いつか私は
尊敬される人になるのだから

でも、それでいいの
いつか私は