首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

国際公約

安倍首相の五輪プレゼン、これは問題になるだろう。
五輪招致に賭けていたことはよくわかる。今日の日経新聞にもエピソードが載っていた。

首相の雷が落ちた。1月、首相の東南アジア3カ国歴訪を控えた勉強会で「歴訪国にIOC委員は何人いるのか」との首相の質問に外務省幹部が答えられなかったのだ。首相は(略)「おれが行くのになぜ調べていないんだ」と叱責した。(日経新聞9月10日14版2面)

汚染水漏れ問題で安倍首相は、まず「状況は制御されている」と簡潔に説明。質疑応答で「解決に向けたプログラムを決定し、すでに着手した」と理解を求めた。「二段階の説明は首相自身が直前に決めた(同紙)」という。

首相の勇み足じゃないといいのだが。どうしても欲しいものを目前にして、つい盛ってしまったのではないか。正確には「制御させます」というべきところを、「制御しています」といってしまったのではないか。

もしかしたら、首相の中では「制御させます」と「制御しています」を区別しないのかもしれない。もしかしたら、これらは同義なのかもしれない。命令すればできるものだと思っているのかもしれない。制御できないほうがおかしい、と考えている。そして実際に制御できないと「なぜできないんだ」と叱責する。

企業トップの場合、アンポンタンは珍しいことではない。(略)遅延しているプロジェクト、全くスケジュール通りではないにもかかわらず、外部には「計画どおりです。制御しています。」とカッコよくプレゼン。一方、担当者に対しては「期間どおりに完了できるよう、遅れを必ず取り返せ。」と叱責。担当者は進捗状況を正確に報告しなくなる。そして事実の隠ぺいへ。

汚染水問題、実際は制御できているどころか、正確な状況の把握さえできていない状況だ*1。汚染水問題、国際公約化してしまった。今後、本当の情報は隠ぺいされるなんてことが起きなければよいのだが。

*1:首相は、汚染水の影響は福島第一原発の港湾内の0.3平方kmの範囲内で完全にブロックされていると発言。実際は港湾の出口を覆う膜に海水の出入りがあり、汚染水が排水溝から外洋に直接出た可能性もある。(同紙)