首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

アマンプロの便りに思う

月初にフィリピンを直撃した台風30号(ハイヤン)がふるった猛威。フィリピン全人口の1割に相当する967万人が被災。22日の報道では5,235人の方が亡くなられたとある。

AFPによれば、上陸した台風としては、観測史上最強だったとか*1。最低気圧は895hpa、最大風速87.5m/s、最大瞬間風速は実に105m/s。上陸しても勢力が全く弱まることなく、実に1日半も停滞したらしい。地上の風速は竜巻に相当する60m/s。低圧によって数メートルも海面が盛り上がる高潮が発生、その被害も甚大だったと。想像を絶するという他ない。

南国に暮らす者として他人事とはいえない。そんな心持ちでいるなか、僕のもとにアマンプロからメールが届いた。アマンプロはフィリピンの首都マニラの南方約300キロに位置する離島リゾートだ。僕が遊びに行ったのはもう10年以上前のことだが、ご丁寧に郵便で季節ごとの便りを送ってくれている。

Amanpulo’s Pamalican Island was in the direct path of Typhoon Haiyan, but we are thankful to report that the resort team is safe. The resort sustained limited damage and will reopen on 15 December 2013.

なんとハイヤンの通り道にあたったらしい。地図で確かめると、確かに被害甚大だったレイテ島の真西だ。しかし従業員はみな無事で、被害も限定的、来月15日には再開されるとある。とにもかくにも、よかった。

10年以上前とはいえ、素晴らしいところだったという記憶は鮮明に残っている。あまりに懐かしく、行った時の写真を探し出してみた。

長さ5キロ、幅わずか500メートルの小さな小さな島、Pamalican島。この島全体がアマンプロだ。まだオープンしたばかりだったと思う。10人も乗れない小さな専用のプロペラ機でマニラからアクセスする。一番上は到着直前の写真。操縦席のすぐ後ろの座席から目の前に見えてくるアマンプロだ。

小さな滑走路が左に見える。プライベートジェットの離着陸ももちろん可能。お忍びのセレブリティも各国から直接やってくるのだとか。これはなんだかスケールが違うぞといきなり驚いた僕。

次にアルバムに残っていたのが、亀の赤ちゃんの写真。生まれたばかり。スタッフが「もうすぐ生まれるから、今すぐ浜辺に行こう」とわざわざ知らせに来てくれた。一匹また一匹、生まれる、生まれる。よちよちと海へと旅立っていった。今からみると下手くそな写真だけど、その感激ははっきりよみがえってくる。この時の感動は忘れないだろうな。

写真にはないが、記憶に残っているのがテニス。当時の僕はゴルフではなくテニスにご執心。こういうリゾートでは一人でもプレーができる。メンテされた綺麗なオムニコートで、プロ並の専門スタッフがラリーの相手をしてくれるのだ。

これが気持ちイイといったらない。こちらのレベルに合わせて、打ちごろの球を完璧に返してきてくれる。ひとしきり汗をかいたら、控えのスタッフがクーラーボックスから冷たいおしぼりとお水を、ハイどうぞ。はー、金持ちは毎日こんな生活してんのかねぇ。そんなことを思ったりしたものだ。

そんな身の程知らずの時間を過ごしたのは昔むかしのお話。バブル末期世代の香りがしますかね。でも給料はともかく、めちゃくちゃ働いていたな、あの当時の僕は。偶然パンフレットであの海を見てしまい、ただただどうしても行ってみたくなったのだ。

水晶の色をした手つかずの美しい海。それはそれは強い引力があった。そして実際に行ってみて、実際にそれに触れてみて、僕は心から感動したのだ。

今や、すぐ近くに美しい海があるのだからね。よくよく考えてみれば、リタイアした人間にとって沖縄は天国のようなところ。そのうち、海の魅力にも少しずつ触れてみましょうかね。やっぱりダイビング? 船舶免許を取るのもアリかな。確かにゴルフだけではもったいないかもしれんね。

*1:AFPニュース11月8日「史上最大規模の台風30号、フィピリンに上陸」