大阪へ帰省
この季節に戻ったことは僕の記憶にない。駅から実家へ続くケヤキ並木、新しい葉が生い茂り、いかにも生命力に満ちている。なんとも気持ちがいい。
すれ違う高校生の制服が見慣れないものだった。いまどきのちょっとオシャレなチェック柄のスカート。いつ切り替わったのだろうか。
庭では父が植木の手入れをしていた。梅の木の枝には小さな実がなっていた。台所では母が煮物を作っていた。なぜだか赤飯も準備されていた。
「帰省」という言葉には、なんだか不思議な語感がある。
- 元来の意味は、「故郷に帰って親の安否を気遣う」という唐の詩人朱慶余の漢詩に出典がもとめられる。
- しかしその意味は時代の推移につれて変化している。近代以降,身分制の崩壊と学校制度の整備にともない,立身出世主義が急速に広がるなかで,「功成り名を遂げて,故郷に錦を飾る」ことが,成功者の理想像として一層強くなった。
- こういう形で帰省することは,幼時から受けた親の恩に報い,孝養を尽くすことであったと同時に,故郷への晴れがましい成功の顕示でもあった。
「世界大百科事典 第2版」より
錦を飾ることはできないけれど、恩に報い、孝養を尽くす気持ちは昔よりもずっと強い。年老いた親に心配をかけたくない一心で、日々沖縄の企業で這いつくばって働いているのだ。
日曜日は母の日。週末はゆっくりとした時間をここで過ごそう。