首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

ギリシャ戦に思う

生まれて初めて、パブリック・ビューイングに出かける。北谷は美浜の映画館まで。

さすがに平日。会場はチョボチョボの入り。来ているのは大学生と自由業と思しき方々。気合いが入っている。みな最新の青いユニフォームを身にまとっている。会場には日の丸も掲げられた。ニッポンコールが響く。

15分前に選手入場。流れるFIFAアンサム。期待していたのに音が悪くてガッカリ。続いて国歌斉唱。おや、なんなんだ、この気持ちの高まりは。君が代に目頭が熱くなる。もしキチンとした5.1chサラウンドだったなら、涙があふれていたかもしれない。

開始2分、右からの大久保の切り込み&マイナスの折り返しを山口がシュート。いいじゃないか。38分、中盤の底が2枚目のイエローで退場。応援用の空気棒を叩き過ぎて壊してしまった。これはいける。
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しかし、全く点が入る気がしなくなる。単調なクロスを延々と放り込む長友。キープしたものの、球を前方へ供給できない本田。危険なエリアへ切り込もうとしない香川。ザックジャパンの大駒3枚による、裏切りにも似たプレーが続く。いったいどういうことなんだ?

唯一の見せ場は後半23分。左サイドの香川から裏を取った内田へのパス。これをダイレクトで完璧に折り返した。斜めからファーサイドに入ってきた大久保がこれを決められない。決めれば男になれた大久保。しかし彼を責められない。最後の最後にしか彼は呼ばれなかったのだから。

最後はまたまたご乱心のパワープレイ。ポンポンと高い球を吉田をめがけて放り込む。なぜ斉藤を出さないのか。あのドリブルでの切り込みはギリシャ戦でこそ輝くはず。豊田、ハーフナーはもちろん、予選で活躍した前田やベンチに下がった大迫にとって、この光景は悪い夢だったのではないか。

もしこれが日本が考え抜いたギリシャ対策というのなら、情けなさすぎて涙も出ない。まさか「自分たちのサッカーをするのだから、対策はいらない」と考えていたのではあるまいな。スペインでさえ自分たちのサッカーを貫くだけでは予選を突破できないというのに。
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泣いても笑っても、残るはコロンビア戦だけ。試合後のコメントを聞くに、もう予選通過は諦めていると思しき選手もいるようだが。

パブリック・ビューイングに集まった観客は、言葉もなく会場を出て行った。