ルイス・スアレス
なんとも、やるせない。つい数日前、感動を与えてくれたばかりの彼が、またやってしまった。
W杯ブラジル大会でウルグアイ代表FWのルイス・スアレスがイタリアDFにかみついたとされる問題で、FIFAは26日、スアレスに代表戦9試合の出場停止と、サッカーに関連するあらゆる活動を4カ月間禁止する処分を決めた。
試合中の暴力行為に対する処分としては、W杯史上最も重い処分となる。活動禁止期間中、スアレスはいかなるスタジアムの区域内に入ることも禁じられている。また、約1,140万円の罰金も支払わなければならない。
スアレス選手は過去にも2度、クラブチームの試合でかみつき事件を起こして処罰を受けたことがある。
"World Cup: Uruguay striker Luis Suarez banned for four months", CNN, 2014/6/26
噛みつくとどうなるか、分かっていたはずなのに。試合に出れないことのつらさは、身にしみていたんじゃないのか。それでも彼はやってしまった。
スアレスのかみつき癖について、Salford UniversityのFawcett博士は、BBCに対して次のように語った。
「発育期の体験は、人格形成に確かな影響を与える。経歴を見てみると、スアレスは貧しい家庭の7人きょうだいという厳しい環境で育ったようだ。生き残るには戦わなければならなかったのだろう」
博士は、今回の事件は驚くようなことではないと語る。「以前にあったことは、また起こります。どんな処置を施したとしても、またやるでしょう」
”Suarez's tough childhood to blame: sports psychologist”, AFP, 2014/6/25
性癖。三つ子の魂、百まで。そういうことなのだろうか。
恐ろしいことだ。極度にストレスがかかった状態では、包み隠されていた本能が自分を動かしてしまう。幼少期の癖や過ちが顔をのぞかせる。
だれだって、非社会的な面を持っている。追い込まれた時、油断した時、年老いた時、理性で押さえていた側面が表出する。
ぞっとする。しかし人ごととは思えない。なんとも、やるせない。