首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

記事額装サービス

今日は疲れた。帰宅して夕刊を広げる。

中面の広告に目がとまった。「記事を、記念に。」という見出し。日経の記事を額装するというサービスがあるのだとか。

  • 日本経済新聞社の新聞各紙に掲載された記事を、高精細印刷しフレーム(額装)に入れてお届けするサービスです。
  • 新聞に掲載された記念として、記事を壁に掛けたり棚に置いたりして飾ることができます。

あー、いいじゃないか、これ。注文してみようかな。僕の書いたずっと昔の「経済教室」、それを2稿分。

長銀の調査部では、この「経済教室」に載ると一人前とされていた。上司や席を並べる先輩たちに続くべく、「いつかは僕も」と一生懸命文献を読み、データを分析した。

最初に載ったのは最初の転職をしたころ。恩師と初めて共同論文を書いた。その出来が自分としてもとても満足だったので、おずおずと恩師に切り出した。「先生、これ、経済教室に投稿したいんですけど。」

最後に載ったのは霞が関から民間に戻った時。一つの大きな節目だったし、その時点で言うべきことは言っておかねば、という強い気持ちがあった。実は「単独で書いて、顔写真をのっけてみたい」。そんな邪念もほんの少しだけ。

僕がこの世に残せたものはあまりない。日経に論稿を発表できたのは、その数少ない爪痕だ。僕がしっかりと仕事をして生きていた証拠と思っている。

これからますます煤けていく僕の人生。過去の栄光を眺め、思い出に浸って静かに暮らす。