首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

南禅寺山門

哲学の道を南へ一路。永観堂を過ぎ、行き着く先は臨済宗大本山南禅寺

山門から法堂へと通じるこの参道。抜けるような青い空をバックに、まさに始まったばかりの秋があった。ここからの数週間、それは見事な紅葉の日替わり絵葉書となるのだろう。

学生時代、月が明るい夜にこの寺をよく訪れた。勉強の合間、考えに行き詰った時、気づけば哲学の道をここまで歩いてきていた。

この寺は「五山の上」。京都五山鎌倉五山各寺の上に置かれる別格寺院である。全国の全ての禅寺の中で最も高い格式を誇る。その荘厳たる雰囲気にあたると、背筋は自ずと引き締まる。弛緩した精神もおそらく。

有難いことに、深夜でも境内に自由に足を踏み入れることができるのだ。月明かりに照らされた木の影がくっきりと地面に映る。歩毎に踏みしめる砂利の音が身体の芯に響く。

法堂を過ぎるところ、右手に折れた坂の先に「水路閣」がある。ここがお気に入りの場所だった。腰を下していた時間は、4年間のトータルでいったいどれほどだったろうか。