首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

寶川温泉

冬は温泉。日本人なら温泉。

思えば1年近く湯に浸かっていなかった。前回は去年3月の中川温泉

せめて1年に一度くらいは。というわけで水上の秘湯、寶川温泉へ。

上野から上越新幹線に乗る。上毛高原までわずか68分。大宮、熊谷、高崎と続く風景は、いかにも東京のベッドタウンという雰囲気だったが、そこから辺境へはあっという間だった。

上毛高原駅からは宿のマイクロバス。乗り合わせたのは中国人のグループと韓国人のカップル。カネは持っていそうだが、服のセンスが尋常ではない。これじゃほとんど大屋政子。どこに売ってるんだ、こんな衣装。

雪が降りしきる中を1時間余り。途中、水上の温泉街を通過する。「ここらの温泉宿はほとんどつぶれてしまったんですよ。」運転手さんが話しかけてきた。「奥利根館」という宿に泊まったことがある。「ええ、倒産しました。廃墟になってそのまま残されてますよ。」

大きな宴会場を備えた宿だった。お湯は悪くない。露天風呂も気持ち良かった。しかし、旅行スタイルの変化に、世の中の動きについていけなかった。

「ほら、そこですよ。」奥利根館が見えた。本当に廃墟だった。