首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

祖母の三回忌

今日は祖母の三回忌法要。

一昨年の立春の朝、祖母は他界した。何年も何年もかけてゆーっくりと祖母は歳をとってゆき、最後は小さな小さな身体になって死んでいった。

いつかは亡くなるだろうと思っていた。でも、率直に言えば、最後の最後まで祖母が亡くなるという状態を想像することができなかった。ものごごろがついてから、本当に近い人が亡くなるという体験をしたことがなく、死別という概念は自分のものにはなっていなかった。

祖母が亡くなって、この歳になって、やっと身近な人が亡くなるとどうなるか、ということをリアリティをもって知ることができた。それは、想像していたよりも重いものでもあり、意外とあっさりと乗り越えられるものでもあった。

沖縄に生活を移してから、考えるところは多い。大阪に住む両親は、今後何年も何年もかけてではあるが間違いなく歳をとっていく。そして最後は死んでいくのだ。この厳然とした真実に、僕はまだ向き合いきれていない。正直に言って、何十年もの間、両親とは難しい付き合いとなっている。今も実家では微妙な距離が両親、特に父との間にはある*1。沖縄に移住するとき、ずいぶんと悩んだ。でも、「物理的な距離を置いて、お互いが自分の望むペースで幸せに暮らしていくことが親孝行だ」と決心したのだ。

両親も僕も少しずつ歳をとっていく。それに伴って、感じ方や考え方も変化していく。「家族のつながりが大切」と考える人が多い沖縄では、僕の決心はなかなか理解されない。決心は間違っていないと信じているが、心は重い。

*1:今日は父親の68歳の誕生日。お父さん、誕生日おめでとう。