首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

三連休初日

昨夜はブログを書き終えたあと、週末ということで南大東島で購入したラム酒をチビチビと飲み始めた。するとなんだか無性にピアノが弾きたくなってきて、超久しぶりにエレピのスイッチを入れる。いま、うちのリビングに置いてあるのは名器フェンダー・ローズ。1970年代後半のビンテージ(単にボロい?)エレピだ。wikipediaにはこう記されている。

ローズ・ピアノ(Rhodes Piano)は電気式鍵盤楽器の一種(エレクトリックピアノ)。フェンダー社のフェンダー・ローズが特に有名で、この種のピアノの代名詞化している。

1940年代にハロルド・ローズ(Harold Rhodes)によって「前線の兵士たちを慰安する(音楽療法)目的で」発明された。最も初期の物は航空機のパーツを使って組み立てられた。これにマグネティックピックアップを取り付け、大音量を得られるように改良した。

ホロ酔い気分も手伝ったのか、気づけば日付が変わる時間まで2時間以上弾いていた。ある曲をヘ長調(F Major)で弾き始めたのだが、なぜか調を変える気にならず、曲を変えてもずっとヘ長調で通した。ト長調とか、ニ長調とか、シャープが付いた調は弾く気分にならなかった。

…思い返すと先週の金曜日、南大東島の防災放送で津波警報を聞いてから、知らぬ間に僕は精神的にかなり疲れていたのかもしれない。先週末もそうだったが、この悲惨なニュース・映像をインプットされ続けると、直接の影響はなくとも確実に気分が滅入ってくる。しかも今週は平日もずっとオフィスのテレビはつけっぱなし。原発関連の速報が入ると音量が上がり、みな僕も斜め後ろにあるテレビに集まってきた。沖縄であっても、今週は常にこの災害と共にあった。

ローズの丸く優しい音*1。改めて“兵士を慰安するという目的で発明された”というこの楽器のルーツに思いを馳せる。なにもかもつつみこむ、そんな響きをもっているヘ長調を弾き続けたのも偶然ではないかもしれない。僕自身、癒しのようなものが必要だったのだと思う。

今日テレビをつけると、番組編成は平常モードになっている。避難している人たちも深刻なニュースばかりだと気が滅入るから、とかの理由でバラエティ番組も解禁になったとか。いつものうるさく、単調で、くだらないテレビに完全に戻っていた。

避難している人のみならず、この国の全体が癒しを欲しているのは確かだ。災害時には貴重なメディアであるテレビ。“報道特別番組モード”からいきなり“平常お気楽モード”に戻すのではなく、一社だけでもいい、もう少し何とか工夫ができないものなのだろうか。それとも、テレビというメディアは、もう完全にその種の理性と思慮と欠いてしまったのだろうか。

*1:Stevie Wonder's 'All I do' theme played on Rhodes piano