首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

お彼岸の中日

今日はお彼岸の中日。祖先に感謝する日である。沖縄は旧暦による行事が多い。例えばお正月やお盆も、僕がこれまで本土で馴染んでいた時期とは異なるタイミングでやってくる。沖縄でもお彼岸という風習はあった。これは本土と同じ日、春分、秋分を中日とした前後各3日を合わせて「彼岸会」としている。スーパーでも「お彼岸コーナー」が設けられ、おはぎや牡丹餅、お花やお供え物を買い求める人でにぎわっている。

彼岸の入りに大阪の実家にメールしたところ、もうお墓参りは済ませたとのこと。僕もいっしょにお参りしたかったところだが、さすがにそれはかなわない。心の中で手を合わせた。そして今日は中日。スーパーで牡丹餅3個セットとミカンを購入、お供えして線香をあげた。

春分と秋分は、太陽が真東から昇って真西に沈む。その特別な日に、改めて遙か西方にある極楽浄土を思い描きつつ、死後に浄土で生まれ変われることを願ったのが彼岸のルーツであるとされる。僕の故郷の大阪でもその風習は残っている。四天王寺の西門が極楽浄土の東門に正対しているとされているが、春分の日には西門から沈む夕日を拝もうとする参拝客がおおぜい集まる。

首里のマンションからは那覇の新都心の向こうに沈む夕日が見える。今日はベランダに立ち、夕日の沈んでいく西の空をずっと眺めていた。大阪でのお墓参りはできないけれど、大阪よりもずっと西にあるこの地で、祖父や祖母、それから祖先のみなさんにお礼を申し上げて置いた。大阪式でも沖縄式でもない、僕なりのやり方だけれども、祖先たちは喜んでくれているだろうか。