首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

照りもせず

(略)そういえば今日の明け方、ふと目が覚めた。

もしかしたら昨夜の中秋の月が残っているかと思い、バルコニーから西の空を眺める。まだ眠る那覇の街の上におぼろ月が浮かんでいた。新古今・大江千里の「照りもせず くもりもはてぬ」は春の夜の幽玄を詠んだ歌だったけれども。

照りもせず、くもりもはてぬ、と。