首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

W杯・全ての出場国決定

意外だがサッカーネタの評判がいい。で、3日続けての蹴球話。

欧州と大陸間プレーオフが終わり、すべての出場国が決定した。これで僕の出てほしかった国がすべて出場することに。最後までヤキモキさせられたけどホントに良かった。やったぜー。

今回プレーオフで応援していた国は5つ。ウルグアイ、クロアチア、メキシコ、ポルトガル、そしてフランス。フランスはアウェイ0-2の崖っぷちからホーム3-0でひっくり返した。ウクライナには悪いけどやっぱりフランスは見たい。ベンゼマ大好きです。

応援する理由。好きな選手がいるとか、サッカーのスタイルが好みとか、もちろんそれは大きい。それに加え、実際にその地を踏んでみて、その国自体を好きになったという理由もある。

ウルグアイに惚れこんでいるのは8月11日14日の記事で触れたとおり。ウルグアイはサッカースタイルも好きだし、選手も好きだし、旅した時の印象も最高だった。おまけに食い物もうまかった。応援しないわけにはいかないでしょう。つーか、決勝までいってほしい。

この5カ国のうち、実際に旅したことがあるのはウルグアイ、メキシコ、ポルトガル。メキシコとポルトガルはとにかく最高だった。歴史は深いし、食べ物と酒は美味かったし。死ぬまでに絶対にまた行きたいと思っている。フランスは仕事でパリに何回か行っただけだが、まぁ土地を踏んだといえば踏んだことになる。一応フランス語はわかるし、食べ物と酒は美味いし。わはは。


で、なぜクロアチアか。僕はこの国には行ったことはない。

実はクロアチアには思い出がある。時は遡って2002年5月。クロアチア代表チームとちょっとした縁がフランクフルトで結ばれた。

バーゼルでの定例の会議が終わり、僕は帰国するために空港へ。僕はいつもバーゼルからドイツ国鉄(DB)に乗ってフランクフルト経由で帰っていた。その日はかなり早めに空港に着いてしまい、ガラガラのJALサクララウンジで時間をつぶしていた。

しばらくして、ラウンジにガヤガヤと小うるさい若者の集団が入ってきた。ラウンジの一角を占有して大騒ぎ。こういうことは珍しい。やかましいな。もう勘弁してくれよ。そう思って、その一角を睨んだ。ソファーで足を組んでいる大柄の男と目が合った。

え、シュケル?!シュケルやんか!

そう、2002年は日韓W杯の年。クロアチアは前回フランス大会3位の強豪として出場国に名を連ねていた。その日はクロアチアザグレブを出発し、フランクフルト経由で日本に向かうところだったのだ。

ダヴォール・シュケル。サッカーに少しでも興味があれば、その名を知らない者はいない。1998年フランス大会の得点王だ。

特に日本人には強い記憶がある。その年のW杯は念願の初出場を果たした大会だった。そしてグループリーグは屈辱の3戦全敗。同じグループH組で完膚なきまでに叩きのめされた相手がクロアチアだった。

1戦目のアルゼンチンには想定通りに負けた後の2戦目、その相手がクロアチアだった。最低でも引き分けなければグループリーグ敗退が濃厚になる。試合は0-0のまま後半へ。もしかしたらこのままいけるかも、と思い始めた後半32分。シュケルはボールを日本ゴールに叩き込んだ。0-1での敗戦。日本の初めてのW杯は終わった。

そのシュケルと目が合った。足を組み、ひとりくつろいでいる。声をかければ届くような距離だ。こういう時の僕のアクションは素早い。立ちあがって彼の席に近寄った。

シュケル、さんですよね?」と切り出した。とりあえず英語で話すしかない。

「ああ、そうだけど」と彼。穏やかなしゃべり口だ。

サッカー好きの日本人だと自己紹介した。そして前回のあなたの活躍は全部見ていた、と続けた。日本にとっては厳しい結果だったけれど、あなたの国が3位になり、そして得点王になったことは対戦相手として誇りだ、と。

「ありがとう。よかったらまあ座れよ。」きれいな英語で彼はそういった。一緒に瓶ビールを飲んだ。夢のようなぜいたくな時間だった。サインを頼んだところ、「いいものがあるんだ」といってバッグから自分のプロマイドを取り出し、そこにマジックで記してくれた。

写真も撮らせてもらった。ちょっと逆光だったけど、ごきげんの表情は残せた。「2ショットで撮りたいんだけど」というと「いいよ。彼にシャッターおしてもらおう」。すぐそばにいた男は当時バイエルンミュンヘンの主力だったニコ・コバチ。ブレブレの1枚は彼が撮ってくれたものだ。

同じJL408便で成田に着いた。降機の時、目が合った。サムアップしたら彼もサムアップを返してくれた。日韓大会でのシュケルは控え選手。チームもグループリーグで敗退してしまった、残念ながら。

そして今回のブラジルW杯。シュケルはいまやクロアチアサッカー界の重鎮。同国サッカー協会の会長として大会に臨む。あのニコ・コバチは代表監督だ。もたつく予選の終盤に急きょ代表監督に任じられ、プレーオフを乗り切って本大会にチームを導いた。

ちょっと長くなった。これが僕がクロアチアを応援する理由だ。

出場は本当にうれしい。頑張ってほしい。