首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

予選敗退/カーリング

ソチ五輪カーリング女子。日本代表は予選で敗退した。

今回の五輪、僕の中ではほとんど「カーリング世界選手権・ソチ大会」との位置づけだ。他の競技は全く関心がない。

昨年末の最終予選、粘ってねばって、最後に滑り込みで出場権を得た日本代表チーム。あの感動をふたたび。カーリングだけは全力で応援すると決めていた。

ところが五輪開幕後、僕自身が急に多忙に。xxxxが大詰めを迎えたり、xxxのお手伝いで東京に出向いたり。気持ちも時間も余裕がなく、ライブで見れたのはごくわずか。試合はすべて録画予約しておいたのだが、どうにも乗り遅れ感があり、なかなか再生できずにいた。
______

そして昨日は中国戦。職安から戻ってきてから、ライブでじっくり観戦した。

中国は見慣れたいつものメンバー。最終予選では2回対戦、コテンパンにやられた記憶が一気に蘇る。リードのスネオ、セカンドの美人優等生、サードのおばちゃん。どれもこれもまあ個性的なことよ。

特にスキップのメガネッ子。高速CPUで最適な手を選択し、精密機械のようにストーンを投げる。少し目を細めてストーンの位置を見極める姿は冷徹そのもので、敵キャラ・ラスボスの風格は十分だ。

いきなり第1エンドから、どっぷりのめり込んでしまった。

メガネッ子のこの試合第1投目。左から回り込み、日本の石にぴったりくっつけつつセンターに納めた。敵ながらあっぱれの完璧なショット。日本は有利な後攻だが、いきなりスチールの危機を迎えた。ああ、やっぱり強いわ中国。

このエンド、日本の最終投。ハウス外の自石を飛ばし、中国の石をはじき出す作戦を選択。少しでもずれると複数スチールされるリスクがある。日本は実にあっさりとこれを決断した。強敵スイスを破った勢いなのだろう、完全に攻めの姿勢だな。

やや抑え気味に投げた小笠原。スイープの2人に対し、掃くのを止めるよう声をかけた。ラインに乗っているようだ。いいぞ。

ストーンはハウス外の自石を飛ばし、コッツンと中国の石を押し出した。セカンドストーンも日本。ナイスショット!!これは大きいでっ。

小笠原はこの結果を見て、ちょっと首をすくめるしぐさ。「ちょっと(当たりが)薄かったんだけどぉ」と事もなげ。日本、いつの間にこんなに強くなったんや?
______

ゲームは一進一退。中国の攻め手は厳しく、日本が後攻のエンドも常にスチールの危機が迫る。メガネッ子のショットは日本戦になると一段と精度が高まる。

それを日本はしのぎにしのぐ。スチールされそうだった第3、第7エンド、小笠原が絶妙のラストストーンで危機を救った。第5エンドも苦しい状況から2点をもぎ取った。

「今日の日本は違う。」…僕もそう思ったし、中国チームもそう思ったんじゃないか。中国も準決勝進出に向けてギリギリの状態。あの精密機械に、ほんの少し狂いが生じ始めた。

第4エンド、中国の”距離センサー”が”誤作動”した。ラストストーンを投じる前、日本の石よりも自石が近いと判断してしまった。ラストストーン、メガネッ子はドローショットでファーストストーンを作った。しかしセカンドストーンは微妙でメジャー計測。

審判員の判断は日本がセカンド。メガネッ子は「まさか。違うだろ?」という感じで再計測を要求。計測し直しても判断は覆らなかった。中国は結果的には1点を取らされる形に。動揺を隠せない中国の4人。

日本の的確な攻めがボディブローのように相手を叩く。精密機械の小さな狂いが徐々に修正できないほど大きくなっていた。
______

2点リードで迎えた第8エンド、先攻の日本。スキップ小笠原の1投目はナイスショット。メガネッ子の1投目は本人の想定とは違うところへ。また中国は1点をとらされただけ。

1点リードの第9エンド、メガネッ子は完全に精彩を欠く。小笠原はしぶとく置くべき所に置く。再度メジャー計測になったが、中国は自信がないのか確認に立ち会わない。セカンドストーンも日本。勝利を強く呼び寄せる2点をもぎ取った。

3点リードの第10エンド。セオリー通り、中国のストーンを淡々とテイクアウトしていく。諦め顔のスネオ。無表情の美人優等生。メガネッ子はいらだちを隠せず、ブラシの柄で地面を叩いた。

日本の最終投。ハウス内の相手ストーンを1つでも出せば勝利が決まる。石は完全に見えている。今日の小笠原なら何の問題もないはずだ。

勢いをつけてスロー。ラインに乗った。掛け声がウォーに変わった。解説の敦賀さんの声がかかる。「大丈夫ですよっ。」「来てますよっ。」「決まりましたねっ!」次の瞬間、「コツツーン」という音。相手ストーンは2つともハウスの外へ。

苫米地が、続いて吉田が笑顔でブラシを上げる。小笠原は2回、3回と小さくガッツポーズ。5連敗中のあの難敵中国を、この大事な場面で撃破した。

すごい。すごすぎる。

______

深夜0時からの最終戦。相手は世界ナンバーワンのスウェーデン

全く歯が立たなかった。既に準決勝進出を決めているので、もしかしたら付け入る隙もあるかと思ったのだが。4勝5敗の5位で予選敗退した。
______

「それにしても。」という気持ちが残る。

この大事な時期に、レギュラーだった小野寺はなぜインフルエンザなんかに罹患してしまったのか。

初戦の韓国戦、代役を務めた吉田は慣れないセカンドでぶっつけ本番。緊張もあってミスを連発した。小野寺は3日後のアメリカ戦で復帰するも、大きく精彩を欠きチームは敗北。

終わってみれば韓国は3勝6敗、アメリカは1勝8敗。つまりアメリカは日本にしか勝てなかった。それだけに悔しさはひとしおだ。勝負事にタラ・レバは禁句といわれても、無念さは拭えない。その後吉田は成長し、チームは立ち直り、スイス・中国という強敵を倒しただけに。

小野寺個人の責任ではない。悔しいだろうが、小野寺がすべてを背負い込む必要はないと思う。

問いたいのは、選手団スタッフのリスク管理の意識だ。猛省すべきは彼らなのではないか。他国選手でも、試合直前にインフルエンザに倒れたなんて聞いたことがない。

ドーピング検査が厳しさを増すなか、投薬がままならないという事情は想像できる。しかし、事前にスケジュールを組んで、予防接種くらい打つことができたんじゃないか?日本の最高レベルの衛生技術をもってすれば、消毒等を徹底することもできたんじゃないか。

この当たり前の疑問に、だれか答えてくれないだろうか。