競争であって競争でない
今年1月、松坂はメッツとのマイナー契約を結んだ。メジャー開幕を直前に控えたさる3月31日、AAAのラスベガス・フィフティワンズへ異動した。開幕メジャーのメンバーには残れなかった。
松坂はこの春、開幕ローテーション入りを目指し、オープン戦で好投を続けた。最終テストと目された3月29日の試合では5回を5安打、無失点、8奪三振という数字を残している。これで開幕ローテーション当確かと思いきや、試合後、マイナー行きを宣告された。
松坂はその無念さを聞かれると、一度目をつぶり、頭の中で考えを整理してから、ゆっくりと言葉にした。「競争であって、競争ではない、という感じですかね。自分がいい状態であっても、いいものを出しても、それが判断材料にならないっていうのが、僕の立場ですから。」
松坂はマイナー契約の招待選手という立場。先発陣の5番手を争った相手は、チームの将来を担うと目される若い投手。チームの方針としては、松坂がどんな投球をしようと、決まっていたのかもしれない。
丹羽政善「イチローフィールド」日本経済新聞電子版, 2014年4月7日
沖縄の組織で働くということは、アンフェアな競争を受け入れるということだ。騙され、嵌められても、耐えるしかない。正社員ではなく、契約社員として雇われた身ならばなおさらだ。
競争であって競争でない。便利に使われ、捨てられるだけ。
それが嫌なら、働かなければ良い。それだけのこと。