3つの道しかない
「金融サービス業には3つの道しかない。」ドラッカーの旧著を読み返す機会があり、その折に見つけたフレーズだ。
- 今日、金融サービス業には3つの道しかない。
- もっともやさしくもっとも選ばれる可能性の大きな道が、これまでうまくいってきたものを続けることである。もちろん、それは衰退への道である。
- 産業としては生き続けるかもしれない。だがいかに懸命に働こうとも、下り坂は間違いない。
地方銀行は、「ただうまくいってきた」というだけで、既に時代遅れとなったビジネスを続けている。
いや、実際にはうまくいってもいないのだけれど、それを認めることさえできず、ただ何も考えずに同じことをずっと続けている。それだけのことだ。
- 実は今日の金融サービス業には第一の道は残っていない。
- 世界は、社会的、経済的、技術的、政治的な激変の渦中にある。病める産業が放っておかれることはない。
この本が出版されたのは2002年の春。12年も前のことだ。ドラッカーの予言通り、病める産業・金融サービス業には第二、第三の道を進むものも現れた。病める産業は放っておかれることはなく、世界的に淘汰の波に洗われた。
ところが、地方銀行は違った。地方銀行という業種は、最も重い病にかかったまま、今も放ったらかしになっているという現実がある。
「産業としては生き続けるかもしれない。だがいかに懸命に働こうとも、下り坂は間違いない。」
地方銀行のリクルート面接や入行試験、そして役員人事の季節。そんなどこか浮かれた時季だからこそ、ドラッカーのこの言葉の重さを改めて感じるのかもしれない。