首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

三田にて

出張二日目。そして今日が出張最終日。今夜の最終便で那覇に帰るのだ。

今回泊まったホテルはフランス資本。部屋は安普請、レストランも一見したところ社内食堂のような雰囲気。

しかしこれが侮れない。クロワッサンは質のいいバターの香りがした。カフェオレ用として温められたミルクが用意されていた。コーヒーが熱くて、濃くて、香り高かった。フランス人のこういう訳のわからないこだわり、とても好きなんですわ。
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ホテルロビーで7時50分に集合。電車に揺られて、午前中は首都圏を西へ東へ視察。午後は田町に本社がある取引先での会議。

実は今回出張するに当たり、週初に恩師にメールを書いた。三田の某大学キャンパスは目と鼻の先。ここまで来たら、やっぱり会って話がしたい。

弟子として、僕はおそらく最も情けない日々を送っている。でも、まあ、名門ゼミにもこんなのが一人ぐらいいていいじゃないですか。遅めのお昼、早目の夕食をお誘いしてみた。「研究室にご挨拶に伺うだけでもいいんですけれど」とも添えておいた。

その日のうちに断りのメールが来た。この日はとてもお忙しいとのこと。週末には学会があり、その準備もあるとか。そうか、残念だな。お忙しいところ、わざわざご連絡有難うございました。

  • その時間の指定ということは、当日の便で沖縄に帰るのか?夜遅い時間であれば、食事して飲む時間くらいは取れるのだが。

先生はそんなふうに書き添えてくれていた。ああ、ありがたいなあ。先生とのさし飲みなんて、ホント久しぶりなのに。

でも、ごめんなさい。いまの僕は東京に出張に来ることで精いっぱい。延泊を決める権限なんてない、ただの契約社員なんですよ。

「近いうち、私的な旅行として東京に参ります。その時お会いできることを心待ちにしています。」本当に残念だけれど、先生にはそう返事をした。

取引先にいく道すがら、ちょっとだけ仲通りを歩いてみた。とても華やかな雰囲気だ。店もいくつか入れ替わったかな?ここ数年でなんだかずいぶん変わったように感じるが。

いや、変わったのは僕のほうか。