首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

アルゼンチン×ドイツ

耳元でiPhoneのあひるが大声で鳴いた。3時30分。起床。

漁業にでも転職しない限り、もう僕の人生でこの時間にアラームをセットすることはないだろう。

眠りも浅かった。予備校の友達が合格し、僕だけ落ちる夢をまた見た。追い込まれているときにいつも見る夢だ。落ち着かせるように、コーヒーメーカーのスイッチを入れる。

メッシは深刻な病なのだ。さすがにこの動きの重さは尋常じゃない。

オフサイドポジションに残ってしまい、あっさりパスを見送る。味方が急いでスローインしようとしても、とぼとぼ背を向けて歩いている。目の前を敵のパスが横切っても、ただ目で追いかけるだけ。

チームメイトも承知しているのだろう。それでなければ、そうでなければ、許されない行動だ。スローインをしようとした選手は、一瞬イラッとしたようだったが、思い返したように反対方向にいる別の選手にボールを入れた。

アグエロが完全に精彩を欠いている。あの鋼のような躍動感はいずこへ。ずるさ、汚さだけが画面に映し出される。一番辛いのは身体が思うように動かない本人だろう。早い時間帯にイエローカードを拝受。こうなると、もう翼をもがれた鷹だ。

この試合も守備陣は圧巻だった。この状況で、この雰囲気で、自陣深くであのパス回しができるなんて。観ている自分でさえ緊張し、掌と腕から汗が滴り落ちているというのに。

しかしイグアインは外した。パラシオも外した。これでは守備陣は可哀そうだ。ああ、もしここにテベスがいたら。そして唯一のチャンスをゲッツェは決めた。
________

120分間、いい夢を見させてもらった。

また4年後に。