Château Cheval Blanc 1988
那覇マラソンのため、市内のホテルには全く空きがない。しょぼいビジネスホテルに法外な料金を払うぐらいなら、クルマを走らせて静かなリゾートを楽しむ方がずっといい。
こういう機会にこそ開けるべきワインがある。選んだのは1988年のCheval Blanc。言わずと知れたサン・テミリオンの格付けの頂点。
澱はほとんど出ていない。セラーに保存していたとはいえ、約20年前に購入したワイン。心配だったが、抜栓したソムリエ氏はコルクの香りを嗅いでニッコリと微笑んだ。大丈夫だった。
エッジまで濃い赤。アルコール分は十分。フルーツというよりは、枯れ草や煙草のような香りが立つ。デキャンタはせずにそのまま時間をかけて飲むことに。
30分ほどで甘い香りが出てきた。1時間を過ぎたころから急激に口当たりが丸く滑らかに。さらに時間が経つと、チョコレートやカカオの芳香がグラスにあふれてきた。素晴らしい。
このワインのブドウが摘まれたころ、僕と彼は休みのたび京都と東京、お互いの下宿に入り浸っていた。近くの銭湯に行き、定食屋で揚げ物を食らった。コタツに入りながら、何かわけのわからんことを朝まで真剣に話していた記憶がある。
彼の中野の安アパート、いまでもそのまま誰かが住んでいるのだとか。ぜひ僕も見に行ってみたい。