えび逝去
えびが亡くなった。
そろそろ水を替えてやろうか。流しを片付けて、水槽を運ぶ。運ぶ前にえびを確認。
夏場はアイスノンを敷いた黒砂利あたりで動いているえび。今朝はなかなか姿が見つけられない。おい、どこに隠れている?
水草を手でつまみあげた。いつもは水草をどけたらすぐに見つかるのはずなのに。見慣れない小さな異物がひとつ。まさか。
事情は飲み込めた。飲み込まざるを得ない。自然界には死者を水に還す機能がある。えびは亡くなってしまったのだ。
思い立ち、二匹のえびを我が家に迎えたのが2011年の2月14日。以来4年と5ヶ月の間、静かな癒しを与えてくれた。リビングに置かれた水槽は、まさに我が家の核だった。
食べ物は勝手に生える水草。水槽はエアレーションもウォーターフィルターもないガラスの器。暑さは苦手だというから、沖縄の夏はさぞ厳しかっただろうに。全くの素人のもとで、よくぞ4年半も生きてくれたな。
自分たちなりに、大切にしてきたとは思う。水温の変化、農薬や塩素に弱いというから、水を替えるときは細心の注意を払った。最初は全く要領を得ず、交換の途中でえびが床に飛び出したこともある。クタリとなった姿に卒倒しそうになった。
アイスノンを敷くのは嫁の担当だった。枕用の特大アイスノン(これがけっこう高価)を二つ、朝と夜に供してやった。冷え始めるといつも、黒砂利に下りてきて手足を盛んに動かす。喜んでいる姿のように見えた。心残りはない。
相棒だった1匹目が亡くなったのは2年前。同じ場所に埋めてやり、手を合わせた。