首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

えび逝去

f:id:basel3:20150924162831j:plainえびが亡くなった。

そろそろ水を替えてやろうか。流しを片付けて、水槽を運ぶ。運ぶ前にえびを確認。

夏場はアイスノンを敷いた黒砂利あたりで動いているえび。今朝はなかなか姿が見つけられない。おい、どこに隠れている?

水草を手でつまみあげた。いつもは水草をどけたらすぐに見つかるのはずなのに。見慣れない小さな異物がひとつ。まさか。

事情は飲み込めた。飲み込まざるを得ない。自然界には死者を水に還す機能がある。えびは亡くなってしまったのだ。

思い立ち、二匹のえびを我が家に迎えたのが2011年の2月14日。以来4年と5ヶ月の間、静かな癒しを与えてくれた。リビングに置かれた水槽は、まさに我が家の核だった。

食べ物は勝手に生える水草。水槽はエアレーションもウォーターフィルターもないガラスの器。暑さは苦手だというから、沖縄の夏はさぞ厳しかっただろうに。全くの素人のもとで、よくぞ4年半も生きてくれたな。

自分たちなりに、大切にしてきたとは思う。水温の変化、農薬や塩素に弱いというから、水を替えるときは細心の注意を払った。最初は全く要領を得ず、交換の途中でえびが床に飛び出したこともある。クタリとなった姿に卒倒しそうになった。

アイスノンを敷くのは嫁の担当だった。枕用の特大アイスノン(これがけっこう高価)を二つ、朝と夜に供してやった。冷え始めるといつも、黒砂利に下りてきて手足を盛んに動かす。喜んでいる姿のように見えた。心残りはない。

相棒だった1匹目が亡くなったのは2年前。同じ場所に埋めてやり、手を合わせた。