首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

銀行からの電話

タクシーで外出。運転手さんと沖縄の方言についておしゃべりする。

最近よく見る沖縄方言で書かれた道路工事の看板について。「ええ、あれは面白いですね。」と運転手さん。

沖縄方言の看板、何種類かあって本当に面白い。というか、意味が全く分からない。一番簡単なのが、「わじゃそーびん」という看板。そのひらがな文字だけが大きく書かれている。これ、意味分かりますか?

「もちろんです。『作業をしております』、という意味ですね。」

この中年の運転手さん、八重瀬の旧家に100歳に近いお爺さまといっしょに住んでいて、日常的に沖縄方言でコミュニケーションしているという。

ずいぶんと上品な言いまわしらしい。「~そーぃびぃん」という表現は、概ね「~しております」という意味。目上の方に対して、あるいは改まった場所で使う丁寧な言葉遣いなのだと。運転手さん、この丁寧な表現を使いこなせない沖縄人が多くなっていることを、心から憂いている様子だった。

「今の若い人は、丁寧な沖縄言葉を知りません。目上の人に対して、乱暴な言葉遣いで話しているのを見ると、心配でハラハラします。」

昔の沖縄には、そのような洗練された表現手段、言語体系があったのだ。そしていつの間にか、その素晴らしい文化は失われてしまった。今の沖縄には、もうその抜け殻しかない。

なるほど。これはとても興味深い話だ。
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オフィスに戻ったら外線が鳴った。あいにく誰も周りにいなかったので僕が代理で回線を拾った。

ある沖縄の銀行からの電話だった。いったい何なんだ?いきなりこの横柄なモノの言い方は。

担当者はランチに出ていて不在である旨を告げる。すると、「こっちもこれからお昼だから、電話したこと伝えといてもらえる?」。直後に電話は切れた。

いったいどういう教育を受けてきたんだろうか、この三流の地方銀行員は。銀行のマナー研修プログラムが貧弱なのか、それともこの島の義務教育が機能していないのか。

上司にヘコヘコ頭を下げ、飲み屋で酒を注ぐ。まあこの島の会社員なんて、それだけやってれば出世できるのだから、合理的といえば合理的だ。顧客に対する丁寧語なんて必要ない。まあそれはその通り。

無駄のない沖縄の会社員人生に乾杯。