首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

『ザ・イースト』

『ザ・イースト』(原題:The EAST)を週末に観たので感想を少し。

Brit Marlingが演じる主人公は元はFBI捜査官。今は民間のコンサルティング会社に籍を置く雇われスパイ。いかにも聡明、いかにもデキルって感じのキャラクター。

極めて優秀。見目麗しく、立ち振る舞いは洗練されている。しかし今は民間の勤め人。なんでFBIを辞めたのか、その理由はわからない。出世競争に負けたか、カネが欲しかったか。

それにしてもこの主人公、かなり上昇志向が強い。確かに米国では、民間と政府機関を渡り歩くのがエリートのパス。スパイ業界でもそうなんだろう。FBIでの職務経験は相当高く売れるのだろうと想像する。

少なくとも金融業界ではそうだった。Fedでキャリアを積み、バンカーやコンサルタントとして稼ぐ、これが王道だ。Brit Marlingの経歴によれば、Georgetownで経済学を学び、実際にGoldmanに就職したらしいから、そのあたりの雰囲気は肌で感じているのかも。

その主人公の成長物語ってところなのかな、この映画は。雇われスパイとして忠実かつ的確に業務をこなす前半。徐々に社会正義的なものに目覚めていく後半。「それって、プロフェッショナルとしてどうなんよ。」とか「結局、色恋でっか?」とかいう突っ込みはしないこと。

大手製薬会社、化学会社を悪者にするステロタイプな社会正義。で、最後に依るのは、自分自身ですか。組織でもなく、共同体でもなく、対でもない、個人としての自分だと。ふーん。なんだか、いかにも東海岸の優等生って感じだな。

退屈はしなかったが、目から鱗が落ちることもなかった。そんなに甘くないで、組織と共同体を捨てて個人を生きるのは。