首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

いい加減にしろ、アメリカ!

合衆国議会のゴタゴタ、昨夜も解決せず。朝起きて、ニュース見て、マーケット情報を見て、もうガックリですよ。アホか、と。NYダウは2日連続で大きく下げた。シカゴの日経平均先物も13,750円まで下げた。9月の高値から千円以上の下落。

とにかく、もういい加減にしろよ、アメリカ。今回の債務上限引き上げを巡るゴタゴタはあまりにお粗末すぎないか。政府機関の閉鎖はつい最近もあったが、その時の経験が生かされていない。というより、むしろその経験が議会関係者の慢心を育て、チキンレースがより過激になっているような感じだ。

そもそも、共和党の「予算を通したいなら、オバマケア(医療保険改革法)を廃止しろ」という主張は筋が通っていないでしょ。オバマケアは大激論の末、3年前に成立済み。共和党は違憲訴訟で対抗、さらに昨年の大統領選挙でも再び廃止を掲げて戦った。結果、最高裁は合憲判断を示し、オバマは再選。もういまさらギャーギャーいっても見苦しいだけ。

予算が通らず、債務上限引き上げができなければ、米国債がデフォルトする。米国債のデフォルト。そんな恐ろしいこと、頭の中で想像しただけで足が震える。市場関係者ならベテランから若手までその認識は共有されている。

議会関係者もそれはわかっているはずだろう? 2年前の8月にスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が米国債格付けをAAAからAA+に格下げした、いわゆる米国債ショックの騒ぎはまだつい最近の話だ。格付けの方向性を「弱含み」から「安定的」に上方修正したとはいえ、まだAA+のまま。AAAには返り咲いていない。議会運営のお粗末さを見せつけられるに、デフォルトの可能性としてはAAA同等とは評価できない、というわけだ。

しかし市場は米国(債)を評価している。クレジット・デフォルト・スワップCDS)の動きは、格付けがAAAの国よりも米国の方が安全なことを示唆している。ブルームバーグによると、米国債を保証するCDSの保証料率(スプレッド)は約22bpと、09年以来の低水準でS&Pの格下げ時の55bpの半分以下。一方、ドイツは26bp、オーストラリアは51bpなどとなっている*1

今朝のFinancial Times(FT)のコラム、このような米国債に対する評価の上に、議会関係者はあぐらをかいているのでは、と指摘していた。

America cannot live so carelessly forever

By Gideon Rachman


However, the fact that America has repeatedly survived careless behaviour ? and bounced back from crises ? has bolstered the inward-looking complacency in Washington. That, in turn, seems to have persuaded US politicians that they can take ever greater risks with the nation’s finances.

  • しかし、米国が何度も不注意に振る舞いつつも生き延び、危機から浮上してきたという事実は、ワシントンにおける内向きな慢心を強めてしまった。米国の政治家は自国の財政に関して従来より大きなリスクを取れると思い込んだようだ。


世界中の市場関係者は、米国債のデフォルトが起こることがないと信じている。目の前で繰り広げられている白けたロシアンルーレット・ショー。拳銃の銃創に弾丸は入っていないとみなわかっている。とんだ茶番。ゼッタイ死ぬはずはないし。実際、こんなつまらないことで死んでもらっては困るねんて。ほんまに。

But repeated games of Russian roulette are never advisable. It is certainly possible that this time Congress will spin the chamber ? and find that there really is a bullet in it.

  • だが、ロシアンルーレットのゲームを繰り返すことは、ゼッタイ勧められない。今回、議会が弾倉を回したとき、本当に銃弾が1発仕込まれていることを知ることもある。

いやはや、本当に恐ろしい。実際、こと此処に及べば何かの手違いが起こる可能性も完全に否定できなくなってきた。

オバマ政権、デフォルトさせるよりも超緊縮財政でリファイナンスを乗り切るとの観測もある。先の欧州危機、ギリシャやスペインなどで深刻な景気後退を引き起こしたような強烈な緊縮政策だ。ギリシャ、スペインはある意味仕方なかった側面もあるが、今回のアメリカは全く違う。ただの徒労というか、犬死だ。

ほんと馬鹿げている。しばらくこんな日が続くかと思うとうんざりする。

*1:Bloomberg "Treasuries Proving Safer Than AAA Two Years After S&P Cut" Aug 6, 2013