『Monica Z.』
『Monica Z.』(邦題:ストックホルムでワルツを)を観た。佳作。
いや、これは佳作どころか今年有数の傑作だ。全く期待せずに観に行ったときに限ってこういうことが起こるから困る。
実に素晴しい出来栄えなのだが、あららと思ったところもチラホラ。忘れないように記録しておく。
まず、ビル・エバンスのピアノが残念賞。描かれ方は実にカッコいい。猫背なプレイスタイルも、セル縁の眼鏡も、かなり雰囲気がでている。モニカいわく「世界一のピアニスト」ですからね。それは全くもって同感。
ところがピアノのタッチが全くそれっぽくない。あんなベターっとした粘着質なワルツ・フォー・デビーはありえんだろ。おしいなぁ。
あと、モニカを演じるエッダ・マグナソンの歌が上手すぎ。映画のしょっぱな、まだ芽が出ていないモニカがクラブで歌う場面。スタンダードの名曲・It Could Happen To Youが何とも上手すぎていきなり笑えてきた。
さらに、このIt Could Happen To Youを聴きあわせた米国のエージェント、「New Yorkで歌わないか?」と声をかける。伴奏がトミー・フラナガン・トリオというのだから腰が抜けた。これ、もう完全にこの時点でスターの座に手が届いてるやん。電話交換手していることの方がおかしいって。
ええ、僕はモニカ&エッダを心から褒めてるんですわ。主人公のモニカも、それを演じたエッダも素晴らしい。この人たちは才能ある。
落ち着いた頃に、またこの映画は観直したい。