首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

沖縄金融サミット

今夜は飲み会。一応“定期会合”なのだが、昨年の3月に集まったっきりほぼ1年間開かれなかった。1年前の会合で「沖縄金融サミット」と名づけた。この年明けにメンバーの方とゆいレールでばったりとお会いした。そのとき僕は勇気を出して「サミット、またやりませんか?」と切り出した。他のメンバーにも予定を入れていただいて、今夜開催とあいなった。

この飲み会には格別の思いがある。それは僕がこの沖縄で、この会だけ「他とは違う特別なつながり」を感じられるからなのだ。

沖縄に住んでからこれまで、様々な飲み会に誘っていただいた。僕はそのほとんどに参加してきた。特に移住した1年目は。お酒を強いわけでなく、ビールをあまり好んで飲まない僕ではあったが、飲み会ではいろいろ勉強させてもらうことが多く、何より「あぁ、少しは本音で話せてもらえた。」と感じることで、この地に少しずつ溶け込んでいっている実感を得ていた。

1年間そんな飲み会に参加し続けて、実はちょっと疲れてきていた。理由はなんとなくわかっていた。「どの飲み会に参加しても、僕は招かれる立場になってしまう」という構造的な問題が存在するのだ。それは、僕が「ヤマト」すなわち本土から来たよそ者で、沖縄では歓迎されていないことを感じる、というような単純な問題ではない。実際、飲み会の場で「ウチナー/ヤマト」のギャップ(いじめ)を直接に感じることはあまりなかった。

ではどういうことか? 僕が参加する飲み会は、基本的に僕以外はすべてある程度の(というか、相当深い)つながりがある。僕はそのつながり(コミュニティ)に加えてもらうという形になる。移住してきたのだからこれは当たり前であり、僕も基本的に楽しかったのだが、さすがに1年間この構造の下でばかり飲んできて、ちょっと息苦しくなってきた、ということなのだ。

金融サミットのメンバーは、僕の友人である。より正確にいうと、「基本的に沖縄に来る前から友達としてのつながりがあったウチナーンチュ(沖縄人)」である。僕の昔の仕事っぷりとかを知っていてくれている。それがとてもうれしく、安心できる。しかも面白いことに、僕を除くとメンバーはこれまでお互いに面識がない。金融にかかわる仕事をしていながら、会社が別ということでこれまで接点がなかったのだ。

このメンバーで酒を飲む。これがなんとも僕にとっては幸せな時間なのだ。以前からの僕の友達(ウチナーンチュ)が、これまで接点のなかったウチナーンチュと話をしている。僕自身は何をしているわけでもないが、まさに触媒となってウチナーンチュ同士が楽しく熱く語り合うことになっている!最高じゃないですか!

「はぁ?それになんか意味あるの?」と思われるかもしれないが、僕にとっては一人ひとりがつながっている、という安心感があることがとてつもなく大きい。実は、昨年の3月に開催した時は、「それぞれ一人ずつ同じ会社の同僚を連れてきて、この輪をもっと広げよう」とちょっと欲張ってしまった。参加者の何人かが「次は僕が幹事します」といってくれたのでそれにお任せしたらその後1年近くお声はかからず。。。小心者の僕は、「あぁ、僕は楽しかったのだけれど、沖縄では同じ業界で会社の枠を超えて飲むことってないっていうし、何だかんだで迷惑かけてしまっていたのかなぁ」と、ここ半年は寂しい気持ちを抱えていたのだった。

そんなこんなで開かれた今回の沖縄金融サミット。改めて本当に楽しく気の置けない仲間だと思えた。「えー、前回も楽しかったぞ」「今度こそ、責任もって幹事やる。3月に中華料理に行こう。」ともいってくれて。

この土地に根付いていけるかも、という気持ちになれるこの飲み会。これからもずっと続いて欲しいと思っている。