首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

ハンカチの寺

受験シーズンです。本土ではマフラーと手袋、毛糸の帽子で完全防備の季節ですが、ここ沖縄では手袋をしている高校生にまだ出会ったことがありません。

僕の周りでも、部下の弟さんが大学受験の真っただ中。さすがに先日のセンター試験の時はピリピリしていて気を遣ったそうです。強心臓の部下は自分がセンター試験を受けた時、朝刊で一日目の答え合わせをしてから二日目の会場に出発したのだとか。僕は共通一次(古いっ)が結構得意でしたが、さすがにそんなに神経が太くなかったな。。。職場でもそんな話題がのぼる時期です。

さて、今朝いつものようにNHKの「おはよう日本」を横目に着替えをしていたら、画面になんとも懐かしい光景が映りました。大阪では「智慧の文殊さん」として知られている家原寺の境内です。実はこのお寺の本堂、この時期かなり変わった姿に変身します。

行基誕生の地、家原寺は(略)「知恵の文殊さん」として有名です。
この季節になると、受験生や家族のお参りが絶えません。
以前は「落書き寺」と呼ばれ、チョークで志願校や名前を書き込んでいましたが今は「ハンカチ寺」と呼び名がかわり、本堂は、志望校が書かれたハンカチで真っ白です。
(引用:“京花の一期一会 家原寺 (合格祈願 )”)

番組のタイトルは“願いをこめた「ハンカチ」寺”とありました。本堂の側壁いっぱいに、いや、側壁だけでなく天井や回廊の柱までぎっしりと40センチ四方のハンカチが貼られています。その数およそ1万枚。3月末には数万枚の布で覆い尽くされるということです。朝日新聞のサイトでもこのお寺のハンカチが風物詩として取り上げられており、これが貼られるようになったのは30年ほど前から、とありました。それまでは白いチョークで名前と志望校を直接お堂に書き込んでいたのでした。

かくいう私、このお寺には相当お世話になりました。物心がつく前から両親に連れられてお参りしていたようです。正直にいえば、チョークで“落書き”した記憶もうっすらとあります(爆)。高校受験と大学受験の時は、画びょうとハンカチを手に、よりご利益のあるポジションを確保すべく頑張ったことをはっきり覚えています。浪人の末、やっと志望校に合格した時にももちろんお礼のハンカチを貼付した。。。。ような気がするんだけどよく覚えていません(爆×2)。

                • -

なぜハンカチなのか。今日の番組で、ご住職がそのことについて次のようなコメントをされていました。

「白いハンカチに、自分の合格したい学校の名前をしっかりと書く。それによって決意が固まるのです。」

…わかるような気がします。この歳になって、このハンカチの意味がわかってきました。太いマジックを握りしめ、白いハンカチに「合格祈願」の四文字と志望校の名前をしっかりと大きく書く。そして自分の氏名を並べて記す。書きあげたハンカチを壁に貼り、これと客観的に向き合うことによって、自分が目指しているものとの距離を知り、目指すことの意義を確認し、改めて内面化する。少し大げさなようだけど、おそらくこれが「決意を固める」という作業なのです。

実は、ここ数日ブログを書いてみて、小一時間ほどの作文作業が楽しみになってきているのです。心の中で引っかかっていたこと、ちょっと感動したこと、ふと自省したことなどを文章(形)にしてから床に就くということ。これに“頭のモヤモヤを軽く洗濯してから眠る”というべき感覚を覚えます。大学時代、とある先生から聞いた言葉を思い出しました。「人は考えを文章にすることで、その考えにサヨナラを告げる。」

今日も会社は理不尽なことで埋め尽くされていました。でも、「今日はハンカチのことを書こう。」と思うと、少しストレスが減殺されました。
しばらくブログは続けてみようと思っています。