首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

中間報告会見/理研委員会

理研調査委員会の中間報告、会見の様子を見た。

竹市雅俊先生、野依良治先生。フラッシュが焚かれる中、日本、いや世界最高峰のサイエンティストが深々と頭を下げている。頭の悪そうな記者の、何とも答えようのない、要領を得ない堂々めぐりの質問に対し、実に誠実に応対している。

ため息が出た。なぜだか、無性に悲しくなってくる。

竹市先生も、野依先生も頭を下げる必要はないと僕は思う。本当に頭を下げるべき人間は、この先生方ではない。なぜ、こんなことになってしまったのか。
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調査委員会の石井俊輔委員長は、質疑応答でこう言っていた。

  • コピー&ペーストを多用していたことについて、
    • 彼女のヒアリングでの説明は、『これが“やってはいけないことである”という認識がなかった、申し訳ありません。』というのが正直なヒアリング結果でした。

「正直なヒアリング結果でした。」という言い回しに、「にわかに信じ難い。」というニュアンスがにじむ。

  • 一部の写真を切り貼りしたことについて、
    • そのまま使っていればよかったんですね。小保方さんの説明は、ここのバンドがクリアじゃなかったので、よりクリアに出ていた別の写真を切り貼りしました、と。プロの、プロフェッショナル・サイエンティストなら絶対にやらないでしょうね

寡聞にして、プロフェッショナル・サイエンティストという表現をこれまで知らなかった。科学者は専門家だ。サイエンティストはプロフェッショナル。アマチュアのサイエンティストは矛盾した表現だ。

未熟な研究者、という表現はあっても、アマチュアのサイエンティストは存在しえない。全くもってあり得ないことが今回起きている、といわざるを得ない。
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記者はこんな不躾な質問をした。

  • 野依理事長は『大変ゆゆしき問題で、極めてずさん』と言ったが、研究者として続けることは疑わしいのでは。これだけのダメージを理研に与えているのに、まだサポートするのか。

これに対し、野依先生はこうお答えになった。

  • 不正があった場合に処分するという話があったが、未熟な研究者が膨大なデータを無責任に扱ってきたことはあってはならないこと。徹底的に教育し直さなければならない。倫理教育をもう一度徹底してやり直し、指導していきたいというスタンスです。

組織防衛なんかではない、心からの言葉だと感じた。「処分して終わり」ではなく、指導していきたい、教育し直す。この期に及んで、そのようにおっしゃる。

ああ、この方はすごい先生だ。本物の教育者だ。そんな印象を持った。
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世界最高峰のサイエンティストが、晒しものになった。功成り名遂げて、もうほとんど名誉職だったはず。苦渋に満ちた表情で、テレビカメラの前で深々と頭を下げた。それでも一から研究者として育てるという。教育者としての使命を果たそうとする。

小保方氏の指導教官どもは、この会見を見たのだろうか。これを見て、何か感じたことがあったのだろうか。