首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

交通科学館の閉館

大阪・弁天町にある交通科学館、昨日をもって閉館というニュース。

僕にとっては思い出深い場所だ。父と母、祖母と一緒にそれはもうよく訪れた。古いアルバムには、満足げな表情をした僕の写真が残っている。

当時の入場券の半券がアルバムに貼られていた。あの巨大なジオラマが初めて公開された際の記念チケット。

とにかくこのジオラマは素晴らしかった。何回見ても飽きなかったな。ショーは夜明けから始まる。通勤列車が動き出す。昼間は特急列車、さらに新幹線。日が沈み、寝台列車が夜を徹して走る。そして次の朝がやって来る。

ルールに沿って、システマティックに動く。きちんと、正確に、時間どおりに。幼い目にも、それは”美しいもの”、”かっこいいもの”として映った。鉄道ファンの多くは、こういった「仕組み」「システム」に憧れと敬意を抱いているのではないだろうか。僕にとって交通科学館は、そのような仕組みやシステムの持つ「美しさ」を実感させてくれる貴重な場所だった。

沖縄の子供たちは、大人になるまでそのような体験ができない。この「美しさ」「かっこよさ」を実感できないまま育った大人が多いのは事実だ。時間どおりには来ないバス。運転の荒いタクシー。「なんとかなる」「どうにでもなる」という要領については、学べるのかもしれないけれど。

空港近くに「ゆいれーる展示館」なる施設があるらしい。まずはそこに行ってみるのもいいかもしれない。ただし土、日、祝祭日、年末年始は休館。公務員天国・沖縄は、子どもの教育にはあまり熱心ではないようでして。