首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

ロンドンの常宿

懐かしいロンドンの常宿。

宿の名前はParkwood Hotelという。ホテルというよりは、宿という方がしっくりくる。小さな古い宿。

最初のロンドン出張では、きちんとしたホテルに泊まった。旅行会社が予約してくれた日航系列のモントカームというホテル。大したホテルじゃないのに、4万円近くとられてひどく後悔した。国家公務員の出張は旅費法の縛りがあって、宿泊費は実費では出ない。持ち出しが半分以上で泣きそうになった。

二回目から、自分で予約した。当時はまだインターネットの予約サイトが充実しておらず、Eメールで直接宿とやりとり。持ち出しがなくて済む、一番安い部屋を確保した。

初めて泊まった時はさすがに参った。70ポンドほどで泊まれるのは、屋根裏部屋。エレベータなどもちろんなくて、重いスーツケースを5階まで自分でおっちらおっちら運ぶのだ。

トイレもシャワーも共同。小さな窓はあるにはあるが、眺めはとなりの屋根だけ。夏目漱石がロンドンに来たときも、こんな窓からこんな風景を眺めたんじゃなかろうか、そんな気分になった。

マーブルアーチの裏通りはとても静かな住宅街。夜も治安がよく、もちろん静かで、ぐっすり眠れた。素晴らしいのは朝食。ビーンがてんこ盛りの典型的なイングリッシュ・ブレックファースト。これですっかり気に入った。

それ以来、もう何度泊まっただろう。今も変わらないだろうか、あの受付の無口なおばさん。