首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

経営計画

中期経営計画に据えられたあるプロジェクト。僕はその事務局を担当している。その役割を与えられたのがこの4月。経営計画上の期限が9月末(笑)ということで、極めて厳しいスケジュールながら、僕なりに周到に準備を進めてきたつもりだ。特にここ1カ月は休日出勤も厭わず、この課題に誠心誠意とりくんできた。「勉強会」という当社独特の手法を活用しながら、経営トップの意を汲むことにも細心の注意を払った。

土壇場になって、●●●●●●から参加・任命されているプロジェクトメンバー(上席調査役)が予想外の行動に打って出た。昨日、このプロジェクトの最終会合だったのだが、突然自分の上司(副部長)を会合に連れてきたのだ。しかも事務局に何の事前連絡もなく、である。

突然上司を連れてきた上席調査役の真意は分からない。プロジェクトの落とし所に納得がいかなかったのか、それとも自分の責任回避のためか。例えるなら、子供の話し合いの場に突然親が登場してまとめにかかるようなものだ。テーブルの真ん中でふんぞり返り、時には机をバンバン叩いてまくしたてる副部長さんの姿を前に、複雑な思いを抱きつつも会議を進めた。

このプロジェクトはある意味でシビアな役割を求められていた。●●●●●●のなかである部門に担わせようとしていた機能があるのだが、プロジェクト発足前の事前調査として当社の経営資源の制約、他行事例等を踏まえて関係各部が分析・検討した結果、その機能は「担わせないことが望ましい」というコンセンサスが得られていたのだ。もちろんその内容は経営トップにも正確に伝えている。このコンセンサスをいわば「落としどころ」としてプロジェクトを発足させることについて、トップからの明確な了解を得ていた。コンセンサスを深みのある調査と分析でしっかり肉付けして報告し、中期経営計画の変更という重要な経営判断に資することがこのプロジェクトの目的であった。

で、この上席調査役。実は●●●●●●の担当である。副部長はその上司である。残念ながら彼らが昨日の会議で発言した内容についての詳細は記せない。ただ、少なくとも彼らから「小さい規模でもいいから、まずはやってみるべき」「他行がやっていないからといって、当社がやらないという理由にはならない」「この部門にこの機能を担わせない、という結論をより前に、この機能のあるべき姿を議論すべき」という発言があったことは明確に記憶しておきたい。プロジェクトの最終会合でのコメントしては非常に勇気のあるものだと思う。並大抵の精神の太さではできない。僕のこれまでの社会人経験の中でもこんな唐突な「ちゃぶ台返し」に遭ったのは初めてだった。

結局、この副部長さんも自分たちの主張を通すことができなかった。その結果どうなったか。来週月曜日にそのまた上司の本部長さんが加わって再度話し合いを持つことになったのだ。子供の話し合いに母親が登場してまとめにかかったが失敗し、次は父親にでてきてもらう、というわけだ(笑)。しかも彼らは「こちらが本部長を出すからにはそちらも部長を同席させろ。」とのたまう。父親同士で会社での役職を比べたら自分ちのほうが上だから、その威光で強引に押し切ろうという作戦か?実際、「時間帯はこちらに合わせろ。うちの本部長はご多忙なんだ。」ときた。はぁ。。

「最終報告に向けて、プロジェクト事務局と当部部長が経営トップとの事前勉強会を実施します。もう日程も火曜日と決まってますから、むしろそこに本部長も副部長も参加されたらいかがですか?」と申し上げたところ、「いや、トップの前では本部長は遠慮して自分の気持ちを話せないから(原文まま・笑)、勉強会前日の月曜日に僕らだけでやろう。」とおっしゃる。やれやれ。

プロジェクトメンバーとは「本部長に自分たちが真剣に考えた内容を説明できるのだから、考えようによっては素晴らしい機会だよ」「彼から捻じ曲げられてつたわるより、直接伝えることの意義を評価しよう」と話し合い、気持ちを切り替えた。