凍結か?中止か?
次世代勘定系システムの開発を凍結すると発表した沖縄銀行。
昨年8月25日に書いたブログ記事「本庁検査」を思い起こす。スルガ銀行がIBMを訴えるまでを、時系列でまとめたものだ。
- 2004/ 9 基本合意書
- 2005/ 9 最終合意書
- 2006/11 稼働延期を決定
- 2007/ 5 開発中止
- 2008/ 1 <当初の稼働予定>
- 2008/ 3 東京地裁に提訴
- 2008/12 <延期後の稼働予定>
基本合意から2年2か月、最終合意から1年2か月でまず稼働を11か月延期した。稼働延期決定から6か月で開発中止に至っている。そして、開発中止を決定した8ヶ月後にIBMを提訴した。
一方、今回の沖縄銀行とNECの場合。プレスリリースや有価証券報告書などの公開情報によれば、ここまでの時系列は次のようになる。
- 2011/ 1 /21 合意発表(沖縄銀行、NEC双方によるプレスリリース。稼働は2014年前半と公表。)
- 2013/ 6 /28 稼働日(2015年1月4日)を沖縄銀行が発表(実質的な延期?)
- 2014/ 1 <当初の稼働予定*1*2>
- 2014/ 3 /28 開発凍結(今回のリリース)
- 2015/ 1 / 4 <銀行発表による稼働予定日=実質的な延期後の稼働予定>
合意から2年5か月でまず稼働を実質的に延期した。そして、稼働延期決定から9か月で開発凍結に至っている。この流れからみると、次は訴訟だ。はたして早ければ数ヵ月後にも、銀行は提訴に踏み切ることになるのだろうか。
なんとなくだが、銀行がベンダーを提訴することはないような気がする。スルガ銀行は開発を「中止」するという大きな決断をし、新しいベンダー(日本ユニシス)に乗り換えた。一方、今回は「凍結」だ。いつか「解凍」してこのベンダーと開発を再開したい、という優しくもすがるような思いが読み取れる。もっとも、解凍できる夢のような日が本当に来るのか、それは僕には全く知るべくもないが。
開発凍結か、それとも中止か。一見したところ同じように見えるが、経営判断としては似て非なるものだ。将来、その違いはとてつもなく大きな差となって現れるのではなかろうか。