首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

朝日新聞の社説に思う

朝日新聞の社説。読んで思わず笑ってしまった。

沖縄で朝日新聞を手にすることは全くない。読める新聞は日経だけ。地元ミニコミは2種類あるが、その悲惨なクオリティはご存じのとおり。

で、その朝日新聞の社説。「沖縄冷遇・政府対応は大人げない*1」と題されている。

翁長新知事が年末に東京に出かけた際、首相や官房長官と面会できなかった。これについて「政府対応は大人げない」というのだ。いやいや、政府の対応は全く大人げありますよ。大人げないのは新知事の方ですから。

社説は次のようにいう。「地元では『沖縄を冷遇』と大きく報じられ、県民の怒りを買っている。」と。いやいや、それは地元ミニコミ紙の観察と主張がおかしいだけ。常識ある多くの県民は全く怒ってませんから。この知事の下では当然こうなるだろうと思ってますから。それを承知で翁長氏を知事に選んだのですから。

社説は次のように書く。「振興予算を取引材料にするようなやり方はやめ、沖縄との対話の道を探るべきだ。」いやいや、政府は振興予算を取引材料にはしてませんから。

しかも、大多数の県民は振興予算には期待してませんから。振興予算の恩恵を受けるのはごく一部の経営者・資本家だけ。それに気づいた県民が今回の知事選挙で翁長氏に投票したのだと思う。
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遠く離れた大阪でこの社説を読んで、改めて沖縄の将来が不安になった。

沖縄は日本でもっとも貧富の格差が大きい社会。これは事実だ。振興予算で豊かになったと実感できているのはごく一部の超富裕層だけ。確かに那覇松山の高級スナックは活況を呈しまくっている。ゴルフ場にはジャガーアストンマーチンベントレーが何台も並ぶようになった。

一方で大多数の県民の生活は数年前から全く変わらない。最低賃金で身を粉にして働き、爪に火をともすような暮らしをしてますから。

実際のところ、これから大多数の県民の生活は悲惨になるだろう。今後振興予算を切られた場合には、大多数の県民がまずトバッチリを食うことになる。資本家、超富裕層はここぞとばかり、残業を増やし、賃金をカットする。これが当地におけるビジネスセンスだ。

政府から振興予算をふるまわれても庶民の生活は豊かにならない。しかし、政府から振興予算を切られたら生活水準はあっという間に切り下がる。経営者・資本家にとってはプットオプションのロングポジション、一方庶民にとってはコールオプションのショートポジションのような利得曲線。非対称なのだ。

大多数の沖縄県民の生活は、今後は振興予算が増えても現状維持が関の山、減ってしまうと底なし沼。この地における「富の分配構造」が変わらない限り、それが宿命だと思う。

*1:朝日新聞社説・沖縄冷遇―政府対応は大人げない、2014年12月31日