首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

研修所生活開始

今日から東京三鷹で研修所生活。昨夜は元職場の上司と神田で飲み、久しぶりにいい刺激を受けた後、中央線で吉祥寺へ。駅前から混んだバスに揺られ、門限ギリギリに到着した。

地方銀行の業界団体が運営するこの研修所、外部の識者を講師として招聘して数日間のカリキュラムを組み、そのプログラムに各地の銀行が希望して参加する、というスタイルだ。僕も昨年度から何度か参加させてもらっている。駅からはバスに揺られること20分余り。門限は厳格に23時、というルールにももうすっかり慣れた。

この研修所、実は10年ほど前、僕が30代になったころに何度か訪れたことがある。その時は講師としてだった。当時僕はシンクタンクの研究員。副主任研究員から主任に上がるころだったか、とにかくものすごいペースでレポートを書いたり、講演をしたりしていた。

この研修所から頂いたお題は、確か「銀行業への異業種参入」だったと思う。週刊金融財政事情とか、エコノミスト(もちろんLondon Economistではなく、毎日新聞が発行しているほう)に寄稿した記事を読んで、事務局の方が連絡してきてくださったことを覚えている。当時はソニーが銀行をつくるとか、セブンイレブンが免許を申請するだとか。あと、eggというインターネット専業銀行が英国で立ち上がり、世界中が興味深深にその行方を見守っていた。

講演した内容は今でもはっきりと覚えている。なぜなら、当時描いた未来予想図はその後ばっちり実現する方向に動いたからだ。これは会心の分析だった。

  • ○今後、ぜったい伸びるもの …コンビニ設置のATM。セブンイレブンのビジネスプランはかなりイケている。あと、既存銀行はインターネットバンキングというチャネルは既存チャネルと並行してきっちり構築しないとヤバい。
  • ×今後、未来のないもの …三和銀行が急激に設置を増やしている駅前ATM。これは絶対に近い将来駆逐される。あと、インターネット専業銀行はぜったい収益があがらない。


あの時、受講生だったおじさんたち、僕のことを覚えていてくださっているかなぁ。当時交換した名刺、きっと残っているはずだから探してみようかな。
スガシカオの書いた歌詞の一節、ちょっと思い出した。

あのころの未来に、僕らは立っているのかなぁ。
すべてが思うほど、うまくはいかないみたいだ。


このままどこまでも、日々はつづいていくのかなぁ。
夜空のムコウには、もう明日が待っている。

いま僕は講演を聞く側にいる。「これはっ!」と思うものを玉石混交のプレゼンから見つけ出し、さらにそのアイディアを実際のビジネスに昇華させなければならない。
昔は正しい分析、未来を読みきることが楽しくて仕方なかったが、いまはそれだけでは満足できない。読みきった正しいアイディアを、周りに共感者をつくり、反対者を説得しながら実現させていく。それをひとつひとつ形にしていきたい。