首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

地方銀行の行く末

東京都に地盤を置く東京都民銀行八千代銀行。10日、経営の統合を基本合意したと正式に発表した。今日の両行株価は大きく上昇、市場は一定の評価を示した。

統合して何か変わるか? 何も変わらないでしょう。実際にここ数年間自分が取り組んでみて、銀行業(コマーシャルバンキング)というのが衰退産業であることがよくわかった。これは個々の銀行の問題じゃない。構造不況業種なんだと思う。特に地方銀行。この中途半端な存在は、意味のない過当な競争により、正常な経済機能を阻害さえしている。

オーバーバンキングが叫ばれて久しい。さらにここ数年のIT技術の進歩、インターネットとコンビニの普及、郵政の民営化等により、商業銀行の過剰感は一層高まっている。店舗数、職員数。大したこともやってないのに、まあこんなにいらんわな。

金融庁今年度の監督方針、地方金融機関に対し5~10年後の経営戦略を明確にするよう求めている*1。これには驚いた。金融行政として大きな転換だと思う。これまでは、健全な経営を続けている限り、経営判断に立ち入るような踏み込む監督はタブーだった。実際は踏み込むのだとしても、方針として掲げることはしてこなかった。オーバーバンキングの状況を何十年たっても解消できないこの業界の硬直性、頭の固さ。当局としても、いい加減しびれを切らしたのだと思う。

5~10年後を見据えた建設的なビジネスモデルを描くなんて、地方銀行でしか仕事をしたことがない経営者には無理でしょ。能力のある企画担当者も皆無。実際、中期経営計画を2年単位でしか描けない銀行もあるようだ。スルガ銀行が唯一の例外かな。あそこまで腹をくくれるかどうか。担当者は大変そうだったけれど、表情は明るかったな。

「これまでの経験を活かそう。この地域に貢献しよう。」と自分なりに努力してきた。しかし、地方銀行という業態に所属する限り、不可能であることがこの5年の取り組みでわかった。この業界では5~10年後を見据えた建設的なビジネスモデルは描きえない。たとえ他の銀行に入っていたとしてもそれは同じだっただろう。

*1:「平成25事務年度中小・地域金融機関向け監督方針」2013年9月6日