首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

布施パター

昨日の自己最少パット(27打)を記念して。

いま使っているパターは、FUSE GOLF SELECTION 01P/NWという地味なもの。オデッセイでもスコッティーキャメロンでもない、無名のパター。

購入日は7月12日。購入場所は近くの小さなゴルフ工房。たまたまドライバーのグリップを換えるために入った店だ。セミプロ、トップアマが対象の店で、「なんか、お勧めのパターってあるんですか?」と聞いたところ、「あー、もう沖縄の高麗グリーンに絶対向いているのがありますよ」と手渡されたのが、これ。

「百発百中ですよ」と店のオヤジ。「大阪のフセ製作所というところが製作してます。社長のオダさんは本物の職人。一本一本、軟鉄の塊からネック部分も含めて削りだしてます。S25Cというこの軟鉄素材は手で曲げられるほどやわらかく、打感は最高です。」

店のマットで試打してみた。コォツゥンという快音。ボールがグニュゥとフェイスに食い込むのがわかる。「いいでしょう。このフェイスの削り方が沖縄の芝に合ってるんですよ。芝目に負けない。最後のひと転がりが違います」売り込みうまいなぁ、オヤジ。

オヤジさんによると、ゴルフクラブというのは結局のところ下請けの中小企業が作っているらしい。大手ブランドの名前が冠せられていても、契約プロ向けなどのごく一部の高級品だけがそのメーカーで作られる。一般向けはほとんどが下請けによるものだとか。

その下請け中小企業のなかで、飛び切りの品質を誇るところもある。こういう工場は、一流メーカー、特に海外の一流ブランドの高級品OEM*1を担っている。その品質の評判は水面下で広がっていき、ついにはその中小企業が独自のブランドを立ち上げることさえあるらしい。このような地方メーカー製の商品を地酒や地ビールならぬ、「地クラブ」ともいうのだとか。

「布施製作所、高級版もあるんですがね。オダパターといって、これは5万円」と見せてくれたパター。ソールに刻まれているトレードマークをみて笑った。オヤジ、これ大阪府の形だよー。「何の形かな、変なマークだな、と思ってたんですよ。大阪府ってこんな格好なんですか? さすが地元の人は違いますね。」

わかりました。おいくらですか、この布施パター(笑)。上代は30,000円也。よし、いただきましょう。郷土愛を刺激され、しかも沖縄では無敵のパターとあれば。後でネットで調べたところ、実は定価が28,000円だったのはご愛敬。面白かったので、おしゃべり代(&アドバイス料)として十分もとが取れたわ。

実際良いですよ、このパター。お勧めです。最後にオヤジから聞いた面白い話をもうひとつ。これだけいいパターだと評判になって相当売れるでしょう?と尋ねたところ、「いや、評判は呼ばないんですよ。なぜかというと、沖縄の人はいいものを他人には教えない。このパターも、これ以上他の人に売るな、というお客さんもいるんですよ。商売にならないですよ。」

*1:OEM: original equipment manufacturerとは他社ブランドの製品を製造すること、またはその企業である。日本では「相手先ブランド名製造」、「納入先商標による受託製造」、などと訳される。