首里に住まう男

沖縄の古都、首里に移り住んだ関西人の表の顔

煮付けを嶺吉食堂で

週明けの朝は嶺吉食堂。

先々週に行ったばかりとはいえ、閉店まで残された機会はわずか。いそいそとクルマを走らせた。首里から那覇港への道は驚くほど空いており、あっという間に到着。

今日は「煮付け」にしてみよう。先週木曜日に食べた海洋食堂の煮付け、これがあまりにヒットだったので、最後に一度くらいは嶺吉煮付けも体験しておきたいな、と。

煮付けは750円。小さいそばとご飯が付いてくる。てびち汁とならぶ嶺吉食堂の二枚看板メニューだ。実はこれが初めての注文。美味しいという評判は知りつつも、いざお店に行くと毎回テビチの誘惑には勝てずにいた。てびち汁にするか、てびちそばにするか。そのツリー選択だけで思考負荷はマックスだったし。わはは。

朝10時、開店してすぐという時間帯でも既にテーブル席はいっぱい。奥の座敷に腰を下ろす。注文を済ませ、さんぴん茶を飲む。棚に設置されたテレビでティッシュ王子の暴露本の話題が。はあ、最低な奴やな、このアホボン。

ほどなくして煮付けが登場。どうです、この雄姿!!手のひらほどの大きさ、しかも厚さもあって圧巻のボリューム。これは1ポンドステーキに対峙した時の感動に近いかな。豚足は豚足でも胴体に近い部分なのだろう、赤身の部分がたっぷりとある。食事していても「肉を食べたでぇ」という感覚。てびちの場合は、肉を食べたというよりは「豚を食ったでぇ」という感じ。このあたりが微妙に違う。

お肉の向こう側にも脇役がずらり。厚揚げ豆腐と大根、ニンジン、かまぼこ。昆布にコンニャク。そしてシンナリとしたたっぷりのレタス。ああ。これはもう完全無欠、パーフェクトな食事ですね。

テーブルには洋からしのチューブが備え付けられていて、これを付けて食べることを勧められる。本土でいうところの「おでん定食」だな。実際、沖縄のおでん屋さんへ行くと同じものが出てくるし。食べ応えのある豚足メインのおでん。うん、最高ですわな。

食事を終えようとしていると、おばさんが話しかけてくださった。Facebookでも大きくfeatureされている、あの奥さまだ。最近は観光客がいっしょに店内で2ショットの写真を撮らせてもらったり。名実とも看板娘、ですな。

「てびち料理、技術を受け継いでもらって、どこかで再開してもらって下さい」とお願いした。ホントに美味しいし、これだけのブランドなんだから。でも、なかなか難しいのだそうだ。やっぱり庶民の食べ物だ。手間が掛かるのに原価が結構高い。長時間煮込むための設備も必要だ。あと、大量の油(ラード)の処理。これがどうにも大変なのだそうだ。

暦の上では立冬も過ぎた。さすがにこのところ朝晩、空気がひんやりする。これからてびち料理がますます美味く感じる季節なのだけれど。